かめかめ・かめラ
東海〜京都紀行

(愛知県〜岐阜県〜滋賀県〜京都府)
(2003/9/13-15)


 2003年9月13日の土曜日。世間は阪神タイガースがいつ優勝するのかと騒いでいる中を、午前7時16分発の急行小田原行に乗って伊勢原を後にした。乗った電車は急行といっても本厚木から小田原まで各駅に停車する。7時25分発の急行でも間に合うのだが慎重な性格(笑)のこともあるし、エクスプレス予約で注文した来月の出張の切符を、初めて券売機にて手にするための時間が少し欲しかったこともある。実際にエクスプレス予約の券売機は使いやすく、これならかなり使えそうだ。

 さて小田原から午前8時7分発のひかり203号新大阪行の13号車13番E席の指定席に乗る。13の連続で不吉な番号だと気にする人もいるかも知れないが、E席だからいい席ということにしよう(笑)。三連休の初日だからだろうか車内はほぼ満員である。ところで10月からは東海道新幹線に品川駅が開業するためダイヤが大幅に変更になる。小田原発着のひかりは現行の下り一日3本、上り一日2本から、上り下りとも一日6本となる。それもすべて岡山発着である。西下するにはとても便利になるが、それも来月からのことで、今日はまだ9月である。



 小田原を出て最初の停車駅である名古屋に9時28分に到着し下車。こだまと違ってひかりは早い。わずか1時間21分である。名古屋の外気は相当暑い。今年は8月は冷夏であったが9月になり残暑が厳しくなってきている。最初の目的地は多治見(たじみ)。JR中央西線の9時37分瑞浪(みずなみ)行は8番ホームから出る。瑞浪は多治見の二つ先の駅なのでこの列車に乗ればよい。座席はロングシート(座席が線路と並行に配置)で10両編成。先頭車両の一番前の席に座ったが定時になっても発車しない。3分遅れて9時40分に発車した。中央西線は名古屋から一端南下して金山から北上する。名古屋から金山までは東海道本線とほぼ並行しており、東海道本線には尾頭橋(おとうばし)という駅があるが、中央西線にはない。つまり最初の停車駅が金山である。金山(東海道本線・名鉄名古屋本線・地下鉄名城線)、鶴舞(地下鉄鶴舞線)、千種(地下鉄東山線)、大曽根(名鉄瀬戸線・地下鉄名城線)と地下鉄等との接続駅が続く。大曽根駅の看板には「ナゴヤドームまで1.4km、徒歩18分」と書かれている。今日は、ナゴヤドームで中日-阪神戦があるんだなぁ。きっと阪神ファンで満員なんだろう。

 新守山を出ると名古屋駅へ向かう特急しなのとすれ違う。そして春日井を経て神領(じんりょう)へ。ここで後ろ6両を切り離す。駅のそばには大きな車両基地がある。運転手も交代した。3分停車で出発し、次は高蔵寺(こうぞうじ)。ここには岡崎から延びる愛知環状鉄道が接続している。これは当初岡崎と多治見を結ぶ岡多線(おかたせん)として計画・着工されたが、国鉄再建策の一環として、第三セクターとして岡崎と高蔵寺を結んでいる。この辺まで来ると、緑が多く郊外へ来たという感じがする。

 山にへばりついているような定光寺(じょうこうじ)の付近は渓流とトンネルの連続で景色の展開が早い。多治見には午前10時20分着。小田原から名古屋市内への乗車券を見せて400円を支払い精算する。応対する駅員は若くかわいい女性である。なぜかちょっとうれしい。さて多治見での所用を済ませて、次の目的地である京都へ移動する。京都へは名古屋へ戻り新幹線で移動するのが便利であるが、時間的に余裕があるのでのんびりと在来線を使って遠回りして行くことにする。

 

 多治見駅の5番線から12時40分発の太多線(たいたせん)美濃太田行に乗る。太多線は単線でまさしくローカル線である。この列車は2両編成のワンマン電車である。途中の無人駅から乗車する時は、後ろ側のドアから乗車して整理券を取らなければならない。小田急線をはじめとする首都圏の電車では考えられないことである。クロスシート(座席が線路と直角に配置)にゆったり座る。旅の雰囲気を味わうのにはロングシートよりもクロスシートの方がよい。予定時刻に出発した列車は、上り坂をゆっくりと登っていく。周囲は稲刈りの終わった田んぼとまだ稲刈りの済んでいない田んぼが混在している。田園地帯である。根本と姫の間で峠を越えたらしく、今度は下り坂をゆっくりと下っていく。可児(かに)で上下線のすれ違いのためにしばらく停車。木曾川を渡ると美濃川合。そういえば巨人の川相はこの日の翌日に引退した。ちなみに阪神は翌々日の15日に優勝決定となった。終点の美濃太田には13時8分着。



 美濃太田、美濃おおた、みのおおた、みのもんた・・・・。そう、美濃太田の駅名標を見ていたらみのもんたを思い出した。ちょっと疲れているのかもしれない(笑)。さて、ここで高山本線に乗換え岐阜まで行く。高山本線は本線とはいうものの全線単線で、乗る列車もわずか2両編成である。13時30分発の岐阜行列車にのる。途中で雨がポツリポツリと降ってきた。折畳み傘は持っているが、できれば雨が上がって欲しい。そう祈っていたら、いつのまにか雨は止んでいた。名鉄との接続的である鵜沼(うぬま)ですれ違いのために数分停車。鵜沼では、左側に犬山城が見えるかどうか確認しようと思っていたが、雨に気を取られていたせいか、すっかり忘れてしまった。

 昔は名古屋から名鉄線経由で鵜沼から高山本線に乗り入れていた特急北アルプスという列車があったはずだが、時刻表を見てもない。なかなか面白い経路だったのだがなくなってしまったらしい。西村京太郎の推理小説でもこの北アルプスが取り上げられていたが、そのトリックはちょっとお粗末だった。那珂でも対向車とすれ違い、岐阜着は14時3分。



 さてここで二つの選択肢が発生した。14時13分発の快速大垣行に乗り大垣で14時45分発の新快速米原行に乗り換えるか、あるいは14時28分発の新快速米原行(これが大垣14時45分発になる)にするかである。通常は、乗換回数を少なくした方が楽であるため、この岐阜駅で20分余りを過ごし、後者の14時28分発の新快速に乗るのであろうが、ある理由で前者の大垣行を選択した。



 岐阜から14時13分発の大垣行に乗車。これもクロスシートである。しかしさすがは東海道本線。太多線や高山本線とは乗客の密度が違い、ほぼ満席である。ちなみに快速や新快速といっても岐阜から米原までは各駅停車となる。小田急線の急行が本厚木から新松田(場合によっては小田原)まで各駅停車になるのと同様である。西岐阜、穂積(ほづみ)を経て、揖斐川の長い鉄橋を渡ると14時24分に大垣に到着した。わずか11分であった。



 さて、ある理由とは大垣駅のエスカレーターの写真を撮ることである。先日テレビで、首都圏ではエスカレーターの左側に立ち、右側を急いでいる人のために空けるのであるが、関西圏ではその左右が逆である。さてその境目はどこか? という番組をやっていた。正解は大垣の一つ先の垂井であったが、垂井で写真を撮るまでの余裕はなく、大垣の乗換時間を利用してエスカレーターの写真を撮ってきた。



 エスカレーターはやっぱり首都圏と同じで、左側に立って右側を空けていた。大垣からは14時45分発の新快速米原行に乗る。転換可能なクロスシートである。関ヶ原と柏原の間に、岐阜県と滋賀県の県境がある。ところで、柏原という駅はJRに三ヶ所あるが読み方が異なる。東海道本線は“かしわばら”、関西本線では“かしわら”、福知山線では“かいばら”である。こんなことを知っていても雑学にすらならない。米原着は15時18分。



 上の写真は米原行の新快速を終点の米原で撮影したもの。ここからは15時26分発播州赤穂(ばんしゅうあこう)行の新快速に乗り換える。これは半分くらいの駅に停車しない文字通りの新快速である。編成も12両と長い。

 この時点で私が持っている切符は、「多治見から320円区間」というもの。いつ途中下車したくなるかも知れないので、多治見ではとりあえず美濃太田までの料金を買ったのである。ここまでくれば途中下車する必要もなくなったので、車内で車掌さんに山科(やましな)までの乗越しを告げて精算を依頼。2,620円(合計2,940円)を支払う。ところがその精算切符を見ると、“中央線-(名古屋乗換)-東海道線経由”とあった。多治見駅で料金表を見たときには、名古屋経由で岐阜へ行く(1,110円)よりも、今回の経路でつまり美濃太田経由で岐阜へ行く(820円)ほうが安かったので、その差額の290円とはいかないまでもいくらかは戻ってくるだろうと思い、もう一度車掌さんに尋ねた。しかし、“太多線-高山本線経由”でも値段は同じであるという返事。ちょっと解せなかった。後で考えると、名古屋と岐阜の間は名鉄と並行して走っているので特定区間である影響なのであろう。

 ちょっと説明が難しいが、首都圏で言えば、新宿-八王子間がこの特定区間に相当する。JRと京王線が競っているので料金で負けないようにJRはこの区間の運賃を安くしてある。例えば、池袋から八王子に向かう場合、池袋駅で八王子までの切符を買うと690円であるが、池袋から新宿までの切符(150円)を買い、新宿で途中下車して八王子までの切符(460円)を買い直した方が80円もお得なのである。つまり新宿-八王子間が格安なのである。このネタ、トリビアの泉だったらどのくらい“へぇー”がもらえるかなぁ。

  

 京都の一つ手前の山科で下車。16時11分。山科のエスカレーターは首都圏とは逆で右側に人が立っていて左側を空けていたが、写真を取り忘れたのは残念だった。山科からは地下鉄東西線で三条京阪へ(230円)行き、まずは旅館にチェックイン。結局、多治見から京都市内へ移動したが名古屋駅と京都駅は通過していないことになる。

  

 旅館で一休みして今日の仕事の準備をしてから移動。その前に鴨川をしばらく散策。写真中の川床料理というのかな、夕涼みをしながら食事というのが、ちょっと優雅な感じがした。

 

 さて四条から京阪電車で終点の出町柳へ(210円)。



 出町柳から叡山電車に乗り一乗寺で下車(200円)。今夜の仕事は、一乗寺から徒歩10分の某所での会議である。6時30分からの会議が午後9時頃に終わり、再び一乗寺から出町柳を経て三条へ。今夜の宿は和風旅館。いつもはビジネスホテルだが、和室もいいですねぇ。疲れているので早めに就寝。

 翌朝は7時45分に目覚ましをセットしておいたが、7時15分には自然に目が覚めた。年をとった証拠かな。三条京阪から山科まで地下鉄東西線で出て、駅の近くの松屋で牛丼(290円)の朝食。山科8時35分発の新快速米原行に乗る。これも12両編成である。米原には9時21分着。今度は9時28分発の快速豊橋行に乗り換える。米原の次の醒ケ井で登山客がたくさん下車する。どこの山に登るのだろうか。大垣からは座席に座れない人も多くなってきた。さすがに東海道本線である。

 岐阜には10時14分着。インターネットで予約した怪しげな外観のビジネスホテルに荷物を預け、所用を済ませた後に、次の仕事場に移動する。移動方法は路面電車と徒歩を選んだ。

  

 路面電車(写真左)は走っているが、どうも乗車方法がわかならい。停車場が見当たらないのだ。近くを歩いていた警察官に聞いたところ、停車場は道路にある緑に塗られた一角だけで、段差もなければガードレールもないし、標識もないという(写真中)。電車が来たら車を止めて電車の近くまで移動して乗車するそうだ。結構命がけである。近い将来には路面電車がなくなるらしいとも言っていた。15分毎に走っていると言う話だったが、15分以上待って何とか乗ることができた。乗ってしまえば簡単なことである。車窓の写真は一番右側である。長良川を渡った早田(そうだ)で下車。そこから“高橋尚子ロード”を歩いた。当然ながら走ったわけではない。この日も暑く、汗が噴きだしてきた。もっと短い距離かと思っていたが、予想以上に長くて、結局30分以上歩いてしまい、会場へ着く前に疲れてしまった。



 この写真は高橋尚子ロードから見た、長良川にかかる金華橋と岐阜城(山頂にある)である。その後、2日間にわたる仕事を終えて翌日に無事に帰宅となった。