かめかめ・かめラ
富士山一周最短鉄道の旅・紀行

(相模〜駿河〜甲斐〜武蔵)
(2003/12/27)

 今日は、以前から企画しておいた「富士山一周最短鉄道の旅」に向かった。順路は、伊勢原−(小田急線)−新松田/松田−(御殿場線)−沼津−(東海道本線)−富士−(身延線)−甲府−(中央東線)−八王子−(横浜線)−橋本−(相模線)−厚木−(小田急線)−伊勢原の予定である。12月21日に千葉へ行った際に、JR本八幡駅で乗車券は購入しておいた。
 実は最初の計画では「富士山一周最短“JR”の旅」であり、JRのみで一周しようとしていた。しかし、そうすると起点が厚木となり、厚木−(相模線)−茅ケ崎−(東海道線)−国府津−(御殿場線)−沼津(以下同様)となる。これでは日帰りするにはあまりにも時間がかかりすぎるので、JRだけの一周をあきらめて小田急も使って“鉄道の旅”になったのである。

乗車券

 乗車券に記載されている経由先のうち「大岡」というのは御殿場線の沼津の一つ手前(松田側)の駅である。それ以外は路線を示している。料金は4,940円。この料金が安いと思うか高いと思うかは、人それぞれ全く異なると思う。私は「安い」と思う。ちなみに途中下車も可能であるし、3日間有効なので2泊3日の旅行もこれ一枚で可能である。“青春18切符”の方が単価は安いが、普通車と快速しか乗車できないなどの制限が多い。

当日朝の大山

 前日夜はかなり冷え込んで粉雪が舞ったのであろう。大山もうっすらと雪化粧である。
 妻が車で出かけるというので便乗して伊勢原駅まで乗せてもらう。予定よりもちょっと早いが、遅れるよりも何倍もよい。伊勢原駅8時05分の急行箱根湯本行きに乗る。電車は渋沢に到着。昨晩のテレビのラーメンカップ2003でグランプリに輝いたのはここ渋沢駅の近くにある「なんつッ亭」であった。ますます混雑するに違いない。渋沢をすぎると周囲の木々や畑はうっすらと雪景色であり、旅情気分が高まってくる。さっき、自宅を出たばかりなのに・・・
 当初はJR松田駅発8時56分の普通列車沼津行に乗る予定であったが、新松田に到着する直前に時刻表を見直したら“特急あさぎり1号”沼津行が松田駅を8時31分発なのに気がつき、予定を変更して早めに沼津へ行こうと思った。今乗っている小田急線の新松田駅着が8時26分なので余裕で間に合うと思ったからである。新松田駅下車後は、特に駆けたりするわけでもなく普通に歩いて、JR松田駅南口へ向かった。

JR松田駅南口

 駅員さんに「あさぎり1号の特急券を沼津まで」と言ったら、時計を見て「もう間に合いません。1番線なんで」と言う。まだ8時29分だった。ちょっと意味がわからなかったが、こうなれば当初からの予定を遂行するまでであり、特急券購入という余計な出費もない、と考え直し、余った時間をどうしようかと悩む。今日は天気はよいが外気は寒い。JR松田駅の北口(正面)に行ってみようと思い、JRのガードをくぐり向かった。約5分ほどで目的地へ到着。売店はあるもののあまり大きな駅舎ではない。

JR松田駅北口(正面)

 松田駅では通常は南側にある2番線と3番線が使われるが、あさぎり号だけは北側にある1番線を使用する。なので南口からは地下道を通り、さらに跨線橋を渡り、1番線にたどり着く構造になっているのである。南口の駅員さんの言葉の意味がやっとわかった。たしかに2分では厳しいのだろう。

JR松田駅跨線橋からの富士山

 松田駅の跨線橋からの富士の姿である。今日はこれから飽きるほど富士山を見ることになるのであろう。さて松田駅からは8時56分の沼津行に乗車。2両編成のワンマン列車でボックスシートである。かなりの人数のお客さんが乗っている。ドアは自動ではなくボタンでの開閉式で初めての人は戸惑うだろうな。だから構内には「ワンマン列車使用上の注意」が書かれている。ワンマンなので、無人駅では後ろ側車両のドアはボタンを押しても開かずに、前側車両の最前部の出口(運転手席の後ろ側)から切符などを運転手に見せて下車する方式である。
 さてこの御殿場線は丹那トンネルが開通するまでは東海道本線だったのである。今は単線であるがところどころに複線だった名残りが見られる。海抜331mの足柄駅付近では積雪が2〜3cmはあり、ホームや民家の屋根を白く染めていた。

御殿場線車窓からの富士山運賃表

 足柄駅を出ると次は御殿場駅である。このあたりから富士山がよく見えるようになる。なおワンマンなので乗車時に整理券をとり、前方に掲示してある運賃表を確認して料金を支払うシステムでありワンマンバスと同じ感覚である。沼津駅には予定通り10時02分到着。この辺では、手前の愛鷹山がじゃまをして富士山がよく見えない。
 沼津からは東海道線の沼津駅10時20分始発の普通列車浜松行に乗り換える。10時40分に富士駅到着。沼津駅と富士駅の間はちょうど20kmであり、20kmの距離を20分で走ったということは、表定速度(平均速度)は60km/hとなる。さて、ここで身延線に乗り換えである。富士駅10時50分始発の普通列車甲府行に乗って出発を待つ。なお身延線もワンマン列車が多く運転されているが区間は富士駅〜西富士宮駅間が多い。発車を待っている間に、10時44分発の特急ワイドビューふじかわ5号甲府行が到着し、先発する。この特急は静岡始発であり、富士駅では進行方向を変えて甲府に向かうことになる。まるでスイッチバックのようだ。
 普通列車甲府行も出発である。途中から富士山が右側の車窓にくっきりと見えてきた。さて身延線は単線だとばかり思っていたら、富士宮駅までは複線なんですね。初めて知りました。だからこの区間はワンマン列車をはじめとした列車数を増やしても問題ないのでしょう。11時07分に富士宮駅に到着して途中下車する。

富士宮駅から富士山と観光案内

 駅前のペデストリアンデッキからビルの間に富士山がみえる。富士宮で途中下車した理由はこの地でやきそばを食べるため。「富士宮やきそば学会」なども組織され焼そばによるまちづくりを目指している様子なのである。まずは老舗のかさやという店に電話をすると、もう営業していないとのこと。うーん、残念。それでは浅間大社の近くにある“まちづくりサロン「宮っ」”に行き、歩いていける範囲でのお勧め店などを聞き、富士宮やきそば公式ガイドブックを購入した。ここは市民ボランティアの方々が携わっているようで、私に対応していただいた男性も元銀行員とのこと。結局、2軒でやきそばを食べ、満腹になった。

大鳥居と富士山境内から富士山


浅間大社浅間大社

 浅間大社からの富士山や本当に綺麗であった。本宮では初詣での準備が至る所でなされていた。

湧玉池湧玉池

 特別天然記念物の富士山御霊水の湧玉池である。富士山の伏流水が湧き出ているそうで、確かに水量も豊かで、透明度も高い。

“ポニー”

 やきそばの2軒目は西富士宮駅の近くだったので、電車で富士宮駅に戻ることにした。地元の人は、西富士宮駅を“西駅”、富士宮駅を“東駅”というらしい。したがって地元風には、「西駅から東駅まで行く」ことになる。手に入れていた乗車券とは方向が逆でしかも重なってしまうので140円の乗車券を新たに購入した。1両編成の車両で地元での愛称は“ポニー”というらしい。わずか3分ほどで富士宮駅に到着。一度下車して甲府までの1,150円の自由席特急券を購入して、富士宮駅を13時55分発の特急ワイドビューふじかわ7号甲府行へ乗る。特急と言えども3両編成でしかない。甲府着は15時29分予定だったが数分遅れた。しかもこの特急は遅い。富士宮〜甲府まで77.7kmの距離を94分かかっている。表定速度はわずか49.6km/hである。ちなみに今朝の小田急線の伊勢原〜新松田間の急行は56.0km/h、松田〜沼津間の御殿場線普通ですら45.5km/hである。
 身延線はほぼ富士川の東岸を走る。この川は、最上川・球磨川と並んで日本三大急流の一つである。特急よりも川の流れが早い・・・なんてことはないよなぁ。

武田信玄の像リニア中央新幹線

 文句を言っても言わなくても甲府へ到着する。ここでも途中下車し、駅前を散策。やはり甲斐といえば武田信玄。またリニア中央新幹線への期待も地元の人は持っているんだなぁと痛感。八王子までの900円の自由席特急券を購入して、16時02分発の特急あずさ64号へ乗る。次の停車駅が八王子で17時00分着である。つまり約1時間、走りっぱなしである。この間の表定速度は89.7km/h。特急ふじかわの2倍にせまるスピードである。
 八王子駅に到着後、17時21分発東神奈川行で橋本まで行き、17時35分発茅ケ崎行に乗り換えて厚木で下車。後は小田急線で帰ってきた。約11時間のミニトリップは無事終了した。
 交通費は、270円(伊勢原〜新松田)+4,940円+140円(西富士宮〜富士宮)+1,150円(特急券:富士宮〜甲府)+900円(特急券:甲府〜八王子)+180円(厚木〜伊勢原)で〆て7,580円。食事は、ペットボトル140円+やきそば400円×2、ラーメン380円で〆て1,320円。合計で8,900円。まぁこんなもんだ。サウナへ行ったと思えば高いが、ゴルフに行ったと思えば安い。