かめかめ・かめラ
徳島〜高知紀行

(兵庫県〜徳島県〜高知県)
(2004/05/20-23)

 小田原駅7時10分発のひかり301号で西へ向かう。台風2号の影響か、雲が低くたれ込んでいて富士山の存在すら隠している。岡山行きのこのひかりは名古屋からはこだまタイプの各駅停車となる。10時02分に西明石駅着。そしてJR山陽本線で大久保駅へ。JRには大久保駅はここを含めて4つ(東京・京都・秋田)ある。西村京太郎ならトリックに使いそうである。

JR山陽本線 大久保駅

 大久保駅で所用と食事を済ませJR山陽本線で西明石を通り過ぎて舞子駅まで戻る。舞子駅の近くにある“高速舞子バス停”は関西地方と四国地方を結ぶ高速バス路線の関西側の拠点として機能している。徳島行きは1時間あたり3〜4本あるので便利だ。高速舞子12時30分発のバスに乗り込む。なんと偶然にも仕事仲間2人に遭遇。やはり便利なんだな。さてバスは快適にスピードをあげ、明石海峡大橋〜淡路島〜大鳴門橋を通り13時45分に徳島駅に到着した。料金は2,900円。きれいな景色が見られるものと期待していたが、あいにく台風2号の影響で曇天だった。

舞子駅から明石海峡大橋高速舞子バス停から明石海峡大橋

 でも大鳴門橋からは鳴門海峡の激しい潮の流れが確認でき、うず潮らしきものも車窓から見ることができた。

鳴門のうず潮?

 徳島入りしてすぐに仕事の会議である。その後、仕事仲間3人とともに徳島ラーメンと地鶏の阿波尾鶏(あわおどり)を堪能した。阿波尾鶏とはオヤジギャグ的なネーミングだが個人的には好きである(笑)。
 翌日(21日)は台風一過のすばらしい天気。昼過ぎまでフリーだったので小松島へ向かう。JR牟岐線の徳島駅10時03分発阿南行きのワンマン列車で中田(ちゅうでん)駅(10時18分着)下車。列車は1両でボックスシートとロングシートが共存しているタイプである。

10時03分発阿南行ワンマン列車

 車窓には田植えの終わった田園がひろがり“日本”を感じる。小松島港が四国の東の玄関だったころは、小松島駅と小松島港駅まで結ぶ小松島線がこの中田駅を起点として走っていた。食事と所用を済ませ、徒歩で南小松島駅へ。小松島駅がなくなった今でもこの駅は“南”小松島駅のままである。12時45分発の列車で徳島へ舞い戻り仕事である。

JR牟岐線 中田駅JR牟岐線 南小松島駅

 この日の夜のパーティーでは、愛媛のちらし寿司、香川の讃岐うどん、徳島の鯛の刺し身、高知の鰹のたたきと四国四県の名物を食べた。22日も快晴の天気のもと一日中仕事(当たり前か)。19時40分にやっと仕事が終了。ただちに徳島駅に向かい、20時07分発の特急剣山11号(2両・自由席のみ・クロスシート)に乗りJR徳島線で阿波池田駅を目指す。

20時07分発阿波池田行特急剣山特急剣山11号

 駅の売店で“四万十川のり佃煮”のおにぎりを買い、これが今夜の夕食である。朝買ったスポーツ新聞を読む時間もなかったのでゆっくりと広げると、記事は阪神主体。地域性があっていいね。一面の見出しからは阪神対巨人戦で巨人が勝ったことは読みとれなかった。

“四万十川のり佃煮”おにぎりスポーツニッポン

 高知まで「一人旅・夜汽車・片道切符」と演歌に出てくるような哀しいシチュエーションである。おまけに乗客も少ない。夜なので車窓から景色は見えないが、このあたりは今年から来年にかけて市町村合併が次々と行われる予定になっており、阿波市・吉野川市・美馬市などが誕生する。阿波池田駅には21時18分着。そして5分の接続で21時23分発の特急南風25号(7両・指定席あり・クロスシート)に乗り換えて高知駅へ向かう。この列車はアンパンマン列車と呼ばれ、高知県出身のやなせたかしにちなんでいる。高知駅着22時31分。駅のコンビニは22時30分で営業を終えていた。せめて特急列車が着くまでは営業していてほしいなぁ。

アンパンマン列車こっちにもアンパンマン


客室の天井にもアンパンマンアンパンマンスタンプラリー

 テレビでは北朝鮮拉致被害者の子供たち5人の帰国の話題が繰り返されていた。小泉首相もがんばったようだけど拉致被害者家族会からはあまり評価が高くない。これまでの首相や昔の社会党の面々から比べると評価されてもよいと思うのに。
 23日はまず高知駅へ。駅のキオスクで路面電車の一日乗車券を購入した。市内限定は500円で全線だと800円になる。全線に乗るつもりなので800円のものを購入。

一日乗車券(表)一日乗車券(裏)

 高知の路面電車は土佐電気鉄道といい、略すと土電(とでん)になる。音では都電と一緒だ。土電ははりまや橋電停を中心に十字型をしており、北へは駅前線(〜高知駅前・0.8km)、南へは桟橋線(〜桟橋通五丁目・2.4km)と南北はわずか3.2kmであるが、西へは伊野線(〜伊野・11.2km)、東へは後免線(〜後免町・10.9km)と東西は22.1kmと東西に長い。土電には外国から輸入した車両や低床車両も走っているのだが、今回は遭遇することはできなかった。まずは高知駅前電停から乗り蓮池町通電停で下車し、追手筋で開かれている日曜市へ。

高知駅前電停土電の運転席

 日曜市は活気がある。いろいろな物が路上で売られている。野菜・くだもの・ジュース・アイスクリン・はちみつ・ちくわ・花・寿司・干物・漬物・帽子・工芸品・櫛・焼き鳥・刃物・おかし・衣類・ゆず・山菜・玉子・鰹・おもちゃ・大判焼き・たこ焼き・イカ焼き・もち・天ぷら・お茶・海苔佃煮などなど、挙げればキリがない。日曜市の西のはずれからは高知城が顔を出す。

日曜市アイスクリン


うな串・焼き鳥の店高知城

 再び蓮池町通から今度は岸壁通へ。今日は日曜日なのに高校生が目立っていたが、どうも市内高校体育大会が開かれているようだ。高知南高校・中学の近くで朝食を済ませ、桟橋通五丁目からはりまや橋へ。「土佐の高知のはりまや橋で坊さんかんざし買うを見た」というよさこい節で有名である。周囲は親水公園が整備され、地下にも以前の欄干が保存されている。

はりまや橋はりまや橋


はりまや橋親水公園地下にある欄干

 はりまや橋から伊野へ向かう。向こうから「ZENA」と書かれた電車が来たのでドイツの車両かな?と思ったが、「日本の元気」でおなじみのドリンクの広告電車だった(^_^; さて鏡川橋からは単線になる。

ZENAの電車鏡川橋電停停車中

 朝倉はJR朝倉駅とともに高知大学の最寄り駅である。ここからタブレットの交換がはじまった。単線区間ならではの光景である。またこちらの電車もアンパンマン電車である。はりまや橋から伊野までの所用時間は乗り換えを含めて約1時間10分だった。

朝倉電停停車中高知大学正門


タブレットアンパンマン電車

 伊野近くの路線は専用軌道のような併用軌道区間である。伊野町は和紙で栄えた町で和紙商家を見学して、JR土讃線の伊野駅へ向かう。

伊野駅前電停周辺和紙商家


JR土讃線 伊野駅

 伊野駅11時34分発の普通列車(ワンマン・1両)で須崎に向かう。徳島の牟岐線の車窓ものどかだったが、土讃線の車窓も負けじとのどかである。単線なので待ち合わせが多かったが、田園や山の風景を楽しむことができた。須崎駅には12時39分着。須崎は鍋焼きラーメンで町おこしをしているらしく駅には大きな看板とのぼりが数本あった。

JR土讃線車窓鍋焼きラーメンの看板


鍋焼きラーメンののぼり

 鍋焼きラーメンは今は閉店している谷口食堂で始まったもので、出前用に開発されたものらしい。鍋焼きラーメン専門店の橋本食堂に行きたかったのだが日曜日が定休日なので他のお店で鍋焼きラーメンの昼食。

定休日の橋本食堂

 徒歩で須崎駅へ向かう途中の道は片側が公園のように整備され、きれいな町並みが印象的であった。

須崎市の町並み須崎市の町並み

 須崎駅からは14時22分発の特急南風20号で高知へ向かう。この列車は四国での列車の中では一番混んでいた。といっても自由席でも座ることはできる。高知駅には14時56分着。寄り道をしたせいで行きには2時間以上かかったが帰りは約30分である。特急は早い!と改めて思う。
 高知駅前からは再び土電ではりまや橋へ。そしてごめん線に乗り換え後免町電停を目指す。ごめん線は全線複線で併用軌道に近い専用軌道だが、自家用の踏み切りが無数にある。領石通電停には自転車置き場が設置されさながらパーク&ライド方式である。

複線の軌道自転車のパーク&ライド


道路と差がない軌道路面電車

 はりまや橋電停から終点の後免町電停までは約40分。土電の東西の路線は、後免町と伊野が終点なので、「ごめん・いいの」とこじつけることができる。後免町電停には土電の形をした自動販売機があった。

土電の形をした自動販売機

 さて後免町からは土佐くろしお鉄道に乗り換える。土佐くろしお鉄道には、高知県西部の「中村線」「宿毛線」と、高知県東部のこれから乗る「ごめん・なはり線」がある。「ごめん・なはり線」とは面白い名前だが、起点が後免駅で終点が奈半利駅なのである。土電ごめん線終点のご後免町電停のすぐ近くにある後免町駅から16時06分発の列車に乗り込む。2002年7月1日開業という新しいローカル線ということで高架が多くスピードの出やすい線形をしており、田園地帯を優雅に走っている。またやなせたかしがデザインしたイメージキャラクターが各駅に設定されている。

後免町駅ごめん・なはり線鉄道


ワンマン列車

 5分ほどでのいち駅に到着した。駅の売店では、こめん・なはり線グッズが販売されていた。

のいち駅ホームのいち駅

 のいち駅16時49分発の快速後免行に乗り込み後免町駅に引き返す。後免町駅17時10分発の高知龍馬空港連絡バスに乗り空港へ向かう。チェックインをした後、時間があったので空港内のレストランでかつおたたき丼を食して高知を後にした。

鰹のたたき丼