かめかめ・かめラ
時刻表見聞録1890年(明治23年)1月
(記 2023/1/14)

01漢数字の時刻表


明治23年(1890年)1月の全国鉄道汽車発着時刻表

 今年(2022年)は、明治5年(1872年)に新橋-横浜に鉄道が敷設されて150年目です。
 手元には復刻版の明治23年(1890年)1月の時刻表があります。まだ時刻表の体裁を成していませんが、旅に出るにはこれで十分です。よく見ると漢数字が使われています。新橋-横浜が開通した18年後です。どんな路線があるのか見ていきましょう。
02新橋-神戸


新橋-沼津


新橋-横浜

 駅名が横に並んでいて、列車は右から左へ時刻とともに進んでいくようです。新橋6時10分発の汽車を見てみましょう。大森、川崎、鶴見、神奈川には停車しません。神奈川駅というのは今の横浜駅と京急の神奈川駅の中間くらいにありました。そして横浜駅は、今の桜木町駅です。その横浜に6時50分着(到着時刻は新橋-横浜間の時刻表に記載してあります)ですので新橋-横浜の所要時間は40分です。ここで進行方向を変えて、6時55分横浜発です。国府津からは現在の御殿場線を経由します。熱海-函南の丹那トンネルが開通するのは、昭和9年(1934年)のことです。佐野駅は今の裾野駅のことです。


沼津-名古屋

 沼津10時40分発で名古屋へは18時(午後6時)10分に到着します。新橋-名古屋の所要時間は12時間です。


名古屋-神戸

 名古屋18時15分発で終点の京都へは23時20分に到着します。新橋-京都の所要時間は17時間10分です。運賃(下等)は3円29銭です。

【下り長距離列車】
名古屋0945-1842神戸【8時間57分】
名古屋1150-2035神戸【8時間45分】
静岡0715-2058神戸【13時間43分】
新橋0610-2320京都【17時間10分】
新橋0945-2210名古屋【12時間25分】
新橋1430-2100静岡【6時間30分】
03日本初の夜行列車


新橋-静岡

 新橋16時45分発の神戸行きです。前年の明治22年(1889)年に新橋-神戸が全通となり、この列車が日本初の日付をまたいで運行される夜行列車です。まだ寝台設備はありません。大森、川崎、鶴見、松田、小山、鈴川(現吉原)、江尻(現清水)には停車しません。静岡には22時54分に到着します。


静岡-岐阜

 焼津、藤枝にも停車せず、堀ノ内(現菊川) で日付が変わります。深夜帯になる、袋井、中泉(現磐田)、舞阪、鷲津、御油(現愛知御津)、刈谷、大高、熱田には停車しません。名古屋には4時40分に到着します。


岐阜-神戸

 長岡(現近江長岡)、稲荷(現奈良線の稲荷)、山崎、住吉に停車せず、終点の神戸には12時50分に到着します。所要時間は20時間05分です。運賃(下等)は3円76銭です。

新橋1645-翌1250神戸【20時間05分】
04新橋-横浜


新橋-横浜

 新橋-横浜には16往復の汽車が設定されています。各駅停車と一部の駅には停車しない快速のような汽車もあります。駅名が縦に連なり、列車は上から下へと時刻に沿って進んでいきます。記載方法が統一されていなかったようですね。新橋-横浜の運賃(下等)は20銭です。
05新橋-国府津、大船-横須賀


新橋-国府津、大船-横須賀

 新橋-国府津には7往復、大船-横須賀には6往復の汽車が設定されています。大船での滞在時間が短いので、列車の連結・切り離しではなく、乗り換えの連絡をしていたものと思われます。運賃は新橋-国府津が49銭、新橋-横須賀が40銭です。
06大府-武豊


大府-武豊

 大府から知多半島の武豊までの路線です。東海道線建設のための物資を武豊港(衣浦港)から陸揚げし運ぶために1886年(明治19年)に開通しました。3往復の汽車が設定され、運賃は13銭です。
07定期乗車券


定期乗車券

 この頃から定期乗車券がありました。新橋-横浜では、1ヶ月で上等30円、中等20円であり、1年ではそれぞれ200円と140円です。新橋-品川では、1ヶ月で上等6円、中等3円50銭であり、1年ではそれぞれ42円と25円です。
08上野-前橋および高崎-横川


上野-前橋および高崎-横川

 上野-前橋および高崎-横川の時刻表です。上野-前橋には5往復、高崎-横川には4往復の列車が設定されています。時刻を見ると、高崎でそれぞれ連絡しているようです。また「横川軽井沢間 上野(こうづけ)信濃国堺碓井峠里程●三里余ハ鉄道馬車下等賃金四十銭、中等ハ金六十銭ナリ」とあります。鉄道馬車とは、線路の上の客車を馬が引くタイプの鉄道です。調べてみると碓氷馬車鉄道が該当しました。1888年(明治21年)に営業を開始し、アプト式ラックレールにて同区間に鉄道が敷設された1893年(明治26年)に廃止されました。わずか5年で廃線になりましたが、明治23年の時刻表にはそのことがしっかりと記載されています。
09軽井沢-直江津


軽井沢-直江津

軽井沢-長野および長野-直江津にはそれぞれ3往復の列車が設定されています。軽井沢-直江津を通しで運転する列車はないようです。
10新橋・上野-新宿-八王子


新橋・上野-新宿-八王子

 下りは、新橋→新宿3本、上野→新宿→八王子2本、上野→新宿1本、新宿→八王子2本で、上りは、八王子→新宿→新橋4本、新宿→上野3本となっています。この時代は甲武鉄道と称し線路はまだ八王子まででした。


路線図(明治23年)

 明治23年の大まかな路線図を示します。自作ですので縮尺は適当です。

 東北方面は仙台の先の塩釜まで、長野方面は直江津まで、中央本線方面は八王子まで、常磐線はまだありません。上野-新橋がまだ未完成です。東海道は神戸まで、米原からの北陸本線方面は金ヶ崎(敦賀港)までです。初代横浜駅もそうですが、横須賀、武豊、神戸、金ヶ崎、直江津、塩釜と港まちです。鉄道建設資材の運搬のためにレールが急がれたようです。
11米原-金ヶ崎


米原-金ヶ崎

米原-金ヶ崎には3往復の列車が設定されています。敦賀港から鉄道建設資材がたくさん輸送されたのでしょうね。
12上野-宇都宮-白河-福島-仙台-塩釜


上野-宇都宮-白河-福島-仙台-塩釜

 上野6時40分発の列車は、塩釜に19時05分に到着します。所要時間は12時間25分です。その他にも区間列車が6本あります。上りも同様です。
13水戸-小山、小山-桐生-前橋


水戸-小山

 水戸-小山には3往復の列車が設定されています。


小山-桐生-前橋

 小山-桐生-前橋には3往復の列車が設定されています。小山からは4方面に線路が伸びており、交通の要衝だったのですね。  
14鉄道小荷物


鉄道小荷物賃金表

 小荷物の料金表も載っています。荷物を運んでもらえるなんて当時の人は便利だと感じたでしょうね。


品物配達所

 荷物の集配の場所についての案内でしょう。
15海川汽船馬車



 吾妻橋-永代橋、東京-横浜、東京-横須賀、東京-木更津-館山、東京-銚子-鉾田の汽船の情報です。



東京-上総・下総、東京-新波・笹良橋の汽船、及び東京-河崎(川崎の誤植?)、東京-所沢、東京-佐倉・成田、東京-栗橋の乗合馬車の情報です。

新波・笹良橋とは栃木県南部の旧藤岡町のようです。
16国府津-小田原-湯本



 国府津-小田原-湯本の小田原鉄道馬車の情報です。国府津-小田原の料金は8銭(中等15銭、上等30銭)、国府津-湯本は15銭(中等30銭、上等60銭)です。また貸切の料金も設定されています。
17路線図


東京以東


東京以西  

太線が鉄道で、細線がその他の交通手段かと思います。


路線図(明治23年)(再掲)

 わかりにくかったので、自分で路線図を作成した次第です。