かめかめ・かめラ
必殺! 肥薩線
(熊本県〜宮崎県〜鹿児島県)
(2006/11/19)(記 2006/11/23)



11月19日の行程

 熊本から宮崎への移動である。普通は高速バスを利用するところである。3時間で4,500円と早くて安い。ところが日本三大車窓の一つがあり絶景で有名な肥薩線へ乗る絶好のチャンスでもある。もちろん肥薩線経由宮崎行きとなった。

 ところで季節は、山下達郎でなくてもクリスマスへ向かっており、熊本の繁華街の通町筋電停近くでもクリスマスイルミネーションが始まっていた。

 
鶴屋デパート ◇ 通町筋電停付近

 熊本駅では九州新幹線の工事が始まっており、ホームの移動や新幹線の高架工事などが行われている。

 
ホームの移動 ◇ 高架工事

【熊本 8:28〜9:52 人吉】特急 くまがわ1号 

 昨夜は雨が強かったが、今日はなんとか曇り空の中を人吉行き特急くまがわ1号が熊本駅を出発した。くまがわの車両は九州横断特急と共用しているようだ。車内は木がふんだんに使われており、落ち着いた雰囲気である。JR九州の車両自体が個性的である。車両の雰囲気は落ち着いているが、落ち着いていないのはオバタリアンである。姦しいどころではなくうるさい。何とかならないものだろうか。

 熊本の次の停車駅は九州新幹線の起点の新八代駅である。近代的な駅の新八代を過ぎると、次は八代である。ここから肥薩線の旅が始まる。昔の鹿児島本線の八代〜川内までは、現在では肥薩おれんじ鉄道になっている。“肥薩線”と“肥薩おれんじ鉄道”とは紛らわしい名前だと思うが地元では問題ないのかな。八代を出るとしばらくして肥薩おれんじ鉄道と九州新幹線をアンダーパス(下をくぐる)して、球磨川に沿って狭い場所を右岸を上って行く。途中で橋を渡り、今後は左岸を球磨川に沿って上って行く。短いトンネルが多い。天気がよくなり少し晴れ間ものぞいてきた。球磨川は日本三大急流の一つで(ちなみに他には富士川と最上川)あるが、車窓から見ている限りでは下流では全くその気配はなく、上流では少しその片鱗を見せていた。車内放送では三大急流のこと、夏場はラフティングで賑わうことなどがアナウンスされていた。


熊本駅スタンプ

 
くまがわ1号車両 ◇ 車内

 
車内 ◇ 車窓(球磨川)

 人吉駅に到着した。隣もホームではいさぶろう1号を待つ人で賑わっていた。これから絶景の観光区間へ行くわけだが、昔はここが鹿児島本線だったことがあり、また30年前には特急や急行も走っていたという路線である。

 
人吉駅 ◇ 1975年2月の時刻表(特急・急行あり)

【人吉 10:03〜11:16 吉松】いさぶろう1号 

 いさぶろう1号に乗り込む。指定された席に行くとすでに7人で来ていた女性グループの一人が座っている。切符を見せたら通路側の席に「どうぞ」と言われたので、「私が窓側なんですが・・・」と言うと初めて気づいたようだった。それにしても周囲を7人グループの女性に囲まれるのは、悪いことはしてないのに肩身の狭い思いである。

 車内はボックスシートが中心だが、立席スペースもあり、また車両の先頭にあるカメラの映像をモニタで見ることができる。なかなか配慮の行き届いた観光列車である。次の大畑(おこば)駅に向かって定刻に発車した。

 
いさぶろう1号車両

 
モニタ ◇ 車窓

 大畑(おこば)駅は難読駅名としても有名だが、ここはスイッチバックとループとがある日本で唯一の駅である。トンネルの前で車内放送がありこれからループに入ることを知らせてくれる。ずっと左にカーブして登っていくと、今後は左から線路が近づいてくる。これはスイッチバックの線路であり、大畑駅停車後にこの線路を登っていくわけである。大畑駅には4分の停車時間があり、ほとんどの乗客が車外に出て記念写真を楽しんでいた。ホームにはススの汚れを洗う必要があった蒸気機関車時代の名残の朝顔水があった。

 
近づいてきたスイッチバックの線路 ◇ 大畑駅名標

 
車両@大畑駅 ◇ 記念撮影大会

 
駅舎 ◇ 朝顔水

 大畑駅を出発し矢岳駅へ向かう。進行方向を2回変えスイッチバックを経てループを登る。途中で止まったのでどうしたのかと思いきや、再び車内放送があり、「先ほど通ってきた線路が左手下方に見えます」という。かなり低いところに線路は見えた。

 
車窓

 
ループ線路(中央に縦に走る線路がある) ◇ 線路脇に案内板

 矢岳駅に到着した。停車時間は7分ある。駅前には人吉市SL展示館があり、そこを見学してから、駅舎などを見る。7分あるとかなり余裕がある。

 
矢岳駅名標 ◇ 車両@矢岳駅

 
矢岳駅舎

 
矢岳駅舎

 
SL展示館

 
SL展示館 ◇ 車内

 矢岳駅を出て真幸駅に向かうが、その途中に日本三大車窓の一つの矢岳越えがある。指定席を女性グループに譲り立席スペースに陣取る。この方が気楽でしかも静かでよい(笑)。この絶景ポイントでも車内放送があり、しかも車両が一旦停車してくれる。至れり尽くせりの観光列車である。


矢岳越えの絶景



 
真幸駅に到着する直前に左手下方に真幸駅が見える。そう、この駅もスイッチバックなのである。真幸駅には4分停車である。時刻表にはない列車の臨時特急はやとの風が止まっている。そもそも特急はやとの風はこの区間を走らないはずなのにな?という疑問が残った。“真幸”は真の幸せということで縁起のよい駅名として人気がありホームには“幸せの鐘”がある。私も鐘を鳴らしたが何回鳴らしたかは秘密である(笑)。

 
下方に見える真幸駅 ◇ スイッチバック

 
真幸駅名標 ◇ 臨時特急はやとの風@真幸駅

 
駅舎

 
幸せの鐘

 真幸駅を出てどんどん下っていくと終点の吉松駅である。反対側のホームに止まっているはやとの風1号に乗り換える。

【吉松 11:19〜11:48 嘉例川】特急 はやとの風1号 

 はやとの風の車内はやはり木が多く利用されており落ち着いた雰囲気になっている。光を遮るブラインドもすだれ状である。途中、嘉例川駅と並ぶ古い駅舎である大隅横川駅を通り、嘉例川駅へと向かう。

 
はやとの風車内

 
ブラインド ◇ 大隅横川駅舎

 
嘉例川駅へ到着した。この駅は大隅横川駅と並んで、1903年(明治36年)に肥薩線が鹿児島本線として開業した当時のままの駅舎であり日本最古の駅舎として知られている。最近ではテレビや雑誌などで取り上げられており、人気も急上昇中である。民間駅長の福本さんも今ではすっかり有名人である。そのためこの特急列車も5分間停車する。

 また週末限定の“百年の旅物語かれい川”も人気で、実は私も昼食はこの駅弁でと思っていたが、団体の予約が40個入っており、自由販売は5個しかなかったとのことであっと言う間に売りきれてしまっていた。お腹は減るので駅前の“かれい川ふれあい館”で山菜おこわを買い待合室で食べた。売店の手前には“かれい川小さな博物館”があり昔の農耕具などがところ狭しと並べられていた。

 
嘉例川駅名標 ◇ はやとの風@嘉例川駅

 
嘉例川駅舎

 
百周年記念碑 ◇ 有形文化財記念碑

 
福本駅長さん

 
駅舎

 
駅舎(内部)

 
ミニチュア駅舎 ◇ 小さな博物館

 
ホーム ◇ 絵はがき by 榎木孝明


嘉例川駅スタンプ

【嘉例川12:23〜12:40 隼人】 

 嘉例川駅に別れを告げ、隼人行き列車に乗る。隼人駅に到着すれば肥薩線完乗である。


車内

 宮崎へ向かう途中に下車した都城駅に貼ってあったポスターを見て、真幸駅に特急はやとの風が停車していた謎が解き明かされた。宮崎方面からの特別列車仕立てのツアーであり、宮崎〜都城〜(吉都線)〜吉松〜人吉の往復をはやとの風で行くというものであった。そのツアー列車と真幸駅で出くわしたのだ。謎が解けてほっとした。