かめかめ・かめラ
北東北紀行
(青森県〜岩手県〜秋田県)
(2007/7/27-30)

【1 北三陸ぐるり旅】
(2007/7/27)(記 2007/8/4)


 
7月27日の予定 ◇ 岩手・三陸フリーきっぷ

 JR東日本の北東北ディスティネーションキャンペーンとタイアップして、岩手・三陸フリーきっぷが発売されたので、未乗区間の乗りつぶしをかねて北東北一人旅に出た。  
 東京駅近くに前泊する必要があるため、夕食を自宅で取った後、本厚木からロマンスカーで新宿へ向かう。前の座席の人は窓側にワンセグを出して巨人対横浜戦を見ている。高橋由が先頭打者本塁打シーズン9本目の新記録を打ち立てたあの試合である。今回はかめかめブログに毎日の旅の予定をあらかじめ書き込んでおき、決められた時刻(毎日午前5時)に自動的に掲載されるように初めて仕込んだことがうまくいくかということが心配である(結果的にはうまくいったようである)。また車内の冷房対策として長袖を持っていったが、これが意外なところで役にたつことになる。ホテルハイマートは東京駅八重洲口徒歩1分と朝早い旅立ちには立地条件は申し分ない。
  旅の初日の7月27日は晴天で暑い。旅立ちは“はやて”である。

 
はやて1号@東京駅 ◇ 深川めし

東北新幹線【東京6:56〜10:03八戸】はやて1号 【東北新幹線完乗】

  東京駅構内で購入した深川めし(830円・585kcal)をさっそく車内で食べる。あさりご飯の上に、穴子かば焼きとはぜ甘露煮が並んでいる。東京の味がでてますね。ちなみに隣は明らかなメタボリックシンドロームの男性が座っており、黒ウーロン茶を飲みながら朝からポテトチップを食べている。これじゃぁ、ますますメタボが進行することだろう(笑)。そのメタボは盛岡で下車。隣が空いてホッとした。


岩手山

 さて盛岡以北の東北新幹線は初めてとなる。盛岡を出てすぐに、車窓左手に雄大な岩手山が見える。いわて沼宮内と二戸に停車したがどちらも乗降客は少ない。トンネルをいくつか過ぎると八戸である。東京からわずか3時間余りで八戸に着いてしまう。新幹線は速すぎる。

 
うみねこ車両 ◇ ヘッドマーク

八戸線【八戸10:16〜12:04久慈】うみねこ(普通列車) 【八戸線完乗】

 八戸からは“うみねこ”と愛称のついた列車に乗り換える。愛称のついた列車は優等列車(特急や急行や快速)のことが多いがこれは普通列車だ。八戸市内の蕪島(かぶじま)が蕪島うみねこ繁殖地として国の天然記念物の指定をうけているためのネーミングだ。また八戸駅〜鮫(さめ)駅まではうみねこレール八戸市内線という別称もあるようだ。


天井の扇風機

 さてこの列車だが、2両・トイレ付・車掌付で転換型クロスシートで乗り心地はよいのだが冷房設備はない。天井で扇風機が回っているだけである。走り出すと自然の風が空いた窓から入ってくる。冷房よりも自然の風の方が心地よいし、旅をしている感じがする。馬淵川前後で2本の支線が港の方に向かっている。しばらくして八戸市の中心にある本八戸駅に到着した。八戸からは50%くらいの乗車率であったが、ここで大量に下車した。


1970年8月号の時刻表から

 あまり知られていないが、1971年3月末までは、今の八戸駅を尻内(しりうち)駅といい、本八戸駅を八戸駅と呼んでいた。


蕪島とうみねこ

  鮫駅を出ると左側の車窓に蕪島が見えてくる。うみねこがたくさんいるのが車内からもよくわかる。陸中白浜駅で海水浴目的と思われる中・高校生が大量に下車し、車内はますます空いてきた。

 
太平洋を望む車窓



 左手に太平洋が望まれる区間が多く楽しめる路線である。階上(はしかみ)駅で列車交換し、角の浜駅からは岩手県に入る。12時過ぎに予定通り久慈駅に到着した。

 
三陸鉄道久慈駅ホームへ降りる階段 ◇ 宮古行き普通列車

三陸鉄道北リアス線【久慈12:15〜13:56宮古】普通列車 【三陸鉄道北リアス線完乗】

  久慈駅に到着する直前の車内から三陸鉄道のホームを見るといくつかの団体客で溢れている。想定外の事態である。なんとかホームに入り、列車を待つ。この三陸鉄道北リアス線は“不思議の国の北リアス”がキャッチコピーである。うーん、なんだかなぁ。入線してきた列車は3両・冷房付・トイレ付・車掌付で、1・2両目が固定式セミクロスシートで3両目は転換型クロスシートという編成である。3両目の山側に座席を何とか確保することができた。海側は高齢者の団体客に譲った形となった。車内アナウンスによると四つの団体が同じ列車に乗り込んでおり、下車駅もすべて普代駅であり、普代駅からは先頭車両だけの単行となり宮古へ向かうとのこと。各団体の添乗員がお弁当とお茶を配っているが、もちろんもらうわけにはいかない。

 
太平洋を望む車窓(野田玉川付近 ◇ 堀内付近)

  三陸鉄道は日本で初めての第三セクターで開業した路線である。新しい路線のためかトンネルや高架が多い。海が見える場所ではサービスとして列車を止めてくれる。高架の部分からでは、乗客はのぞき込むようにして海岸を眺めている。普代駅の一つ手前の白井海岸駅付近で1両目に移動する。普代駅で大量〜〜〜に下車。1両になったがガラガラである。そして車掌も降り、ワンマン列車となる。普代駅出発時点で約10分の遅延。理由は、団体客の乗下車・ビューポイントでの一時停車・車両切り離しなどの複合であろう。田老(たろう)駅ではレトロ調車両 さんりくしおさいと列車交換。その後もスピードはあげずに宮古駅にも10分遅れで到着した。

 
三陸鉄道宮古駅 ◇ 中華そば@たらふく

 三陸鉄道宮古駅では駅前を工事中である。JR宮古駅とは入口が別になっている。深川めしからは何も食べていないのでお腹が空いてきた。駅から徒歩5分ほどのたらふくへ向かい中華そばを食べる。老舗の中華そばはさっぱりしていて美味しい。

 
本州最東端訪問証明書 ◇ 宮古駅スタンプ

 食後、駅前の観光案内所で「本州最東端訪問証明書」を100円で手に入れる。

 
JR宮古駅 ◇ 大漁旗

 そして隣のJR宮古駅の待合室で少し待つ。待合室には大漁旗が掲げられていた。

 
岩泉行き普通列車 ◇ 行き先表示

山田線〜岩泉線【宮古14:59〜15:19茂市15:35〜16:28岩泉】普通列車 【岩泉線完乗】

 宮古からは茂市経由岩泉行き普通列車の乗り換える。茂市までは山田線でそこから先は岩泉線になる。単行・トイレ付・車掌付だが、冷房なしの扇風機列車で、しかもドアを開けるのは手動である。引き戸のようにドアを開けなければならない。閉まるのは自動になっている。釜石方面からの接続の列車が遅れているのでいきなり出発が2分ほど遅れる。ちなみに遅れている列車には2日後に釜石から乗る予定になっている。

 
車窓(宮古〜茂市)

 やがて出発し、閉伊川(へいがわ)沿いをゆっくりと上って行く。たちまち茂市に着く。

 
茂市駅構内 ◇ 車窓(茂市〜押角)

 茂市駅構内は山田線と岩泉線の分岐駅だけあってかなり広い。茂市に15分ほど停車して、盛岡方面からの列車との接続を取った後に岩泉へ向けて再度出発する。列車は田園地帯から徐々に山あいに向けて進んでいく。

 
押角駅 ◇ 車窓

 秘境駅ランキング第4位の押角駅に停車する。板張りのホームがあるだけで周囲に生活の気配がない。秘境駅の面目躍如(?)である。押角峠付近では道路や民家に比べてはるかに高いところに線路が敷かれているのがわかる。北海道の石北本線や石勝線のような雄大な山の風景である。

 
岩泉駅舎 ◇ 龍泉洞コーヒーと絵はがき

 押角峠で分水嶺を越え、岩手大川駅の手前では、列車に向かって一生懸命に手を振る少年にこちらからも手を振る。そしてしばらくして岩泉駅である。盲腸線の終端駅である。岩泉線は太平洋側の小本まで計画されていたので当初は小本線と言っていたが、途中で延伸計画がなくなり終点の名前をとって岩泉線となった。龍泉洞が近いこともあり、岩泉町観光協会が龍泉洞の水を使った缶コーヒーと絵はがきを無料で配布していたのでしっかりといただいてきた。

 
発車時刻表 ◇ 岩泉駅スタンプ

 岩泉線は全線を通る列車は1日3本しかないという超閑散区間となっている。それだけにこの駅に列車で来るのは難易度が高いと言える。

岩泉線【岩泉17:20〜18:12茂市】普通列車

 
茂市駅名標 ◇ 夕暮れの茂市駅構内

 乗ってきた同じ列車で再び茂市まで戻る。雄大な自然の景色を車窓から見ているだけで心が洗われる気持ちがする。茂市で下車し、山田線の盛岡行きを待つ。茂市駅では三脚を持ったカメラオタクオヤジが多く、撮影場所の確保に苦労していた。下手するとケンカが起こるかも知れないという緊張感さえ漂う。私もデジカメオヤジだが、三脚などは使わないのでオタクではないと自分では思っている(笑)。

 
旧国鉄色(?)列車 ◇ 区界駅名標

山田線【茂市18:31〜20:44盛岡】普通列車

 宮古から来たのは旧国鉄色といわれる列車か? カメラオタクオヤジはこれを撮影に来ていたのかな? 2両・トイレ付・車掌付で固定セミクロスシートの盛岡行きに乗り換える。高校生の乗客が多い。標高をどんどんあげていき、区界駅で列車交換のため15分停車する。この区界駅は標高744mであり山田線のみならず東北地方で一番標高の高い駅である。あたりはかなり冷え込んできたので長袖を着用する。持参したラジオでは巨人対広島戦が流れていて7回まで3対0と巨人がリードしている。ウトウトしながら盛岡駅に到着し、四日間の旅の一日目が終えた。
【1 北三陸ぐるり旅】  【2 青森の二つの角】  【3 陸中の山から海へ】  【4 県境いったりきたり】