かめかめ・かめラ
北東北紀行
(青森県〜岩手県〜秋田県)
(2007/7/27-30)

【3 陸中の山から海へ】
(2007/7/29)(記 2007/8/4)


 
7月29日の予定 ◇ 大館駅舎

 今日の予定は、大館〜好摩〜盛岡〜花巻〜釜石〜宮古〜釜石〜盛〜大船渡である。旧国名でいうと、大館付近は出羽国で、盛・大船渡付近は陸前国になるが、ほとんどが陸中国である。

 
鶏めし販売所 ◇ 鶏めし外観

  朝起きて大館駅に向かうと、昨夜には気がつかなかったが、大館名物“鶏めし”弁当の作業場兼販売所が駅前にあった。当初は盛岡駅についてから遅めの朝食にしようと思っていたが予定変更である。鶏めしを購入し列車の中で食べることにする。
 駅前には地元の年配の男性がいたが「おはようございます。どこから来られたのですか?」と声をかけられた。もちろん地元の言葉なのでなまっているが、なんとか意味はわかる。「神奈川からです」と答えると、別の年配男性から「18きっぷですか?」と尋ねられた。「18きっぷを利用する人が多いですかね?」と聞くと「この時期は多いね」とこれも地元の言葉で返ってくる。正直、半分くらいしか意味がわからない。


JR大館駅と小坂鉄道大館駅が入った地図

 
小坂鉄道線路 ◇ 小坂鉄道大館駅跡

 
大館地図(1914年) ◇ 大館地図(1990年)(ともに「東北 〜地図で読む百年〜」(古今書院)から)

 この機会に「小坂鉄道の昔の駅はどこにあったのですか?」と逆に質問する。丁寧に教えてもらいその跡を見に行く。小坂鉄道は1994年に旅客営業を停止して、現在では貨物営業のみ行われているようだ。小坂鉄道大館駅の跡はかなり広く、大きな駅だったようだ。大館は大館駅前を中心とするのは新市街で、その南側で東大館駅の東側に旧市街がある。東北〜地図で読む百年〜(古今書院)に詳しく書いてある。

 
大館駅構内 ◇ 大館駅スタンプ

 
比内鶏の里 ◇ 花輪線終点駅

 
盛岡行き車両 ◇ 車内

 
鶏めし ◇ 弁当ウンチク

花輪線【大館6:43-9:07好摩】普通列車  【花輪線完乗】

 花輪線はローカル線なので単行かと思いきや、駅のホームで待っていたのは3両・セミクロス(2列+1列式)・冷房付・トイレ付であった。しかし乗客は少なく、先頭車両には私一人であった。大館駅を出てすぐに奥羽本線をオーバークロスし、南下する。まだ温かさの残る鶏めしを車内でゆっくりと食べる。あきたこまちを比内鶏のスープで炊いたご飯とその上にある比内鶏の肉が絶妙に美味しい。素朴な美味しさである。東大館駅を過ぎ、大滝温泉で列車交換。沢尻駅なんて名前の駅がある。エリカやERIKAがいるはずもない(爆)。


今までの線路

  十和田南で進行方向を変える。平地でのスイッチバックであり、ここでも列車交換を行う。十和田南を出ると、今まで走ってきた線路が右前方に消えていく。鹿角花輪駅でも列車交換。この駅は以前は陸中花輪と言ったように、ここは秋田県だが、この辺りは旧陸中国なのである。兄畑からは岩手県に入る。田山〜横間の間で分水嶺を越える。



 
車窓

 分水嶺は越えたが、安比高原駅までまた登る。この駅は、JR・私鉄全駅乗下車を達成した横見浩彦氏が最初に駅めぐりを開始したことでマニアには広く(笑)知られている。そして徐々に下っていき北上盆地に入っていく。花輪線の起点である好摩駅で途中下車する。

 
好摩駅名標 ◇ 好摩駅舎

 
啄木の歌 ◇ 好摩駅スタンプ

 好摩駅には啄木の歌が掲示してある。駅前をブラブラしたがあまり見るものもないので、次の列車で盛岡へ向かう。

IGRいわて銀河鉄道【好摩9:30-9:56盛岡】普通列車

 この岩手・三陸フリーきっぷは、三陸鉄道だけでなく、IGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道などもフリーエリアに含まれている。好摩からは3両セミクロスのJR型車両である。乗客は多い。さすがに元東北本線だけのことはある。盛岡駅で1時間30分ほど時間があるので駅ビル内の本屋さんに行って時間をつぶす。当初の予定では、盛岡で遅い朝食を摂ろうと思っていたのだが、大館で鶏めしを食べたので食事はしなくて済む。それでも時間があまるのでブラブラしていたらなんと「めんこい横丁」に気付いてしまい、らーめんの千草があるのを発見してしまった。


ラーメン@千草

 千草といえば本店は一昨日通った久慈にあり、鶏ガラ100%のスープのラーメンで、新横浜ラーメン博物館にも期間限定で出店していたお店である。どうしても食べたくなりお店に入ってラーメンを食べた。予定外行動その2である。美味しかったが、11時前にすでに2食も食べてしまった。体重維持作戦には逆行してしまうなぁ。

 
快速はまゆり3号表示 ◇ 車両


行き先表示

東北本線〜釜石線【盛岡11:24-13:35釜石】快速はまゆり3号  【釜石線完乗】

 さらに駅前をブラブラした後、快速はまゆり3号で釜石に向かう。この列車は3両で1,3号車が転換型クロスシートで2号車が固定クロスシート(2列+1列式)となっていて3号車が指定席である。1号車を先頭にして出発するが、花巻で進行方向が逆になるため、転換型クロスシートの初期設定は後ろ向きになっている。

 
北上川ゴムボート川下り大会 ◇ 釜石線合流

 盛岡を出発すると左手に北上川が寄り添うが、今日は北上川ゴムボート川下り大会らしく数多のゴムボートが川下りをしていた。しばらく走り、釜石線の線路が合流してくるともうすぐ花巻駅である。


北上川

 花巻から釜石までは釜石線である。別名を銀河ドリームラインという。花巻を出て似内で列車交換のための運転停車。その後、北上川を渡る。そして東北新幹線との接続駅である新花巻からは大量乗車で指定席はほぼ満席になった。土沢からは高度を上げ山間部に入っていく。

 
宮守駅名標 ◇ めがね橋(宮守川橋梁)から下を望む

 宮守駅を出てすぐに通るのは“めがね橋(宮守川橋梁)”で、ここは宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」のモチーフにしたとされている。しかし列車に乗っていると高さ以外は全く実感できない。


遠野駅

 徐々に下りになり、すぐに遠野盆地の中心地の遠野駅である。4年前に家族で遠野に車で来て、遠野駅に併設されている“フォルクローロ遠野”に泊まったのを思い出す。

 
陸中大橋駅付近を見下ろす ◇ 今通ってきた鬼ヶ沢橋梁を見上げる

 再び高度を上げ、足ケ瀬を過ぎると山間部に突入しトンネルが多くなる。霧も出てきた。今日の予定の地図内に矢印で示したヘアピンカーブは高低差を稼ぐためのものである。これから通る線路をはるか下に確認することができたが、陸中大橋駅は確認できなかった。陸中大橋駅を過ぎてから見上げると、先ほど通って来た鬼ヶ沢橋梁を望むことができる。やがて終点の釜石駅に到着し、乗客が一気に車外に吐き出される。


宮古行き車両 ◇ 

山田線【釜石13:40-14:53宮古】普通列車  【山田線完乗】

 ここから山田線で宮古へ向かう。乗り換えた列車は13時05分から快速はまゆり3号を待っており35分停車していたことになる。この列車は2両・セミクロス・トイレ付である。乗車率は60%くらいで、あいにく海側の逆方向・通路側しか空いていない。海がなかなか見えないのでドアの付近に立っていこうかと思ったが、二つ目の鵜住居(うのすまい)駅で4人でボックスに座っていた地元の高校生が下車したので海側の進行方向の席に座ることができた。ラッキーである。

 
吉里吉里駅名標 ◇ 車窓

 
車窓 ◇ 岩手船越駅名標

  そして井上ひさしの小説「吉里吉里人」で有名になり独立宣言をして日本各地のミニ独立国の先鞭をきった吉里吉里駅を過ぎ、右手に太平洋を望みながら本州最東端の駅である岩手船越駅を越えて、路線の名称にもなった陸中山田駅に到着する。小雨が降っているようだ。2日前は4分程遅れたこの列車だが、今日は遅れずに定刻に宮古駅のホームに滑り込んだ。二度目の宮古である。


磯ラーメン@蛇の目本店

 駅前のさわだや食堂で食事をしようというのが当初の予定であったが、今日は定休日らしく営業していない。そこで次善策として蛇の目本店(寿司屋)で磯ラーメンを食べることにする。カニ・エビ・イカ・ホタテなどが一杯入った磯ラーメンは圧巻だった。宮古駅前はなにかお祭りか花火大会でもあるのだろうか、浴衣姿のお嬢さんが目立っている。

山田線〜三陸鉄道南リアス線【宮古15:53-17:07釜石17:30-18:19盛(さかり)】  【三陸鉄道南リアス線完乗】

 さてまた釜石まで戻ることになる。4両・セミクロス・トイレ付・車掌付である。前から2両目に座ったが、発車後のアナウンスで、前の2両は釜石止りで後ろの2両は盛までとのこと。陸中山田でかなり下車し、釜石の手前で最後部の車両に移る。

 
釜石駅舎 ◇ 構内

 
別名 ◇ 釜石駅スタンプ

 釜石で切り離しと待ち合わせで23分の停車である。駅前などを散策しながら時間をつぶす。釜石線の駅はエスペラント語で別名がつけられているようだが、釜石駅は“ラ オツェアーノ(太洋)”である。
 釜石を出て列車は三陸鉄道南リアス線に入る。車両はJR型車両である。途中に“三陸”という名前の駅があるのを発見した。通常は三陸というと陸前(宮城県)・陸中(岩手県)・陸奥(青森県)の総称であるが、駅名があるのは初めて知った。南リアス線は比較的新しい路線なのでトンネルが多い。リアス式海岸の半島の根元をトンネルで通過し、トンネルを出るとちょこっと海が見えるといった感じなのだ。海ではカモメが飛び交っている。

 
車両 ◇ 盛駅名標

 
盛駅スタンプ ◇ 岩手開発鉄道盛駅

 盛駅に着いた。ここには貨物営業のみの路線である岩手開発鉄道の駅もある。

大船渡線【盛18:57-19:01大船渡】

 そして今日のホテルのある大船渡までわずか一駅であるが大船渡線に乗って移動した。今日は参議院議員選挙投票日なのでホテルでじっくり開票速報でも見ることにしよう。私は丸川氏と違ってしっかりと期日前投票してきましたよ(笑)
【1 北三陸ぐるり旅】  【2 青森の二つの角】  【3 陸中の山から海へ】  【4 県境いったりきたり】