かめかめ・かめラ
水郡・会津・上越紀行
(茨城県〜福島県〜新潟県〜群馬県)
(2009/1/10-11)

【1 水郡線・磐越西線】

(2009/1/10)(記 2009/1/12)


 私達夫婦の仲人をやっていただいた叔父とともに、青春18きっぷを使って、男二人旅に行ってきた。叔父は鉄ちゃんではないが、ローカル線に乗ってみたいということで、伊勢原ー新宿ー上野ー(常磐線)ー水戸ー(水郡線)ー郡山ー(磐越西線)ー会津若松ー(只見線)ー小出ー(上越線)ー高崎というルートを設定した。高崎からは湘南新宿ラインで一路神奈川を目指す。

 
1月10日の旅程(1) ◇ 青春18きっぷ

 ようやく空が明るくなりはじめた伊勢原駅を6時57分の急行新宿行きに乗った。最後尾の車両に座り、ウトウトしながらそして行程表をながめながら約1時間で新宿に到着した。有人改札で青春18きっぷに日付印をもらうために、JR連絡口には行かずに一度小田急の改札口を出てから、改めてJRの有人改札で2つの日付印をもらった。中央線のホームに行くと「中央線は信号トラブルで遅延」の文字が・・・・・。予定では8時2分の列車に乗るはずだが、実際は7時54分の列車が8分遅れで発車し、所要時間は同じだったので全く影響は出なかった。昨日は都内では冷たい雨とともに初雪が降ったが、今日は快晴で、我々の旅立ちを天も祝ってくれているようだ。神田で乗り換えて上野駅へ向う。新宿から山手線で日暮里へ行き、常磐線に乗るほうが所要時間は短いが、改装されてしまったとはいえ、上野駅から出発することも旅情の一つなのだ。行き止まりになった頭端式の線路がいくつも並ぶ様は終着駅の名残りを未だ留めている。

 
上野駅 ◇ 列車表示

 上野からは常磐線快速土浦行きに乗る。15両だが座席はロングではなくセミクロスで、ボックス席に座り、都内から千葉県そして茨城県と、関東地方ではありながら、その風景が少しずつ変わる車窓を眺めていた。ひたち野うしく駅では後続の特急スーパーひたち11号に通過待ちのために4分停車する。


羽鳥駅で特急通過待ち

 土浦からは10時ちょうど発の勝田行きに乗り換える。途中の石岡駅では、2007年3月31日をもって廃止された鹿島鉄道のホームや車両基地がすっかり整理されて空き地のようになっていた。時代の流れとはいえ寂しいである。羽鳥駅ではやはり後続の特急フレッシュひたち13号の通過待ちのために8分間停車するので気分転換のためにホームに降りてみた。そして左右に緑が多くなり、偕楽園や千波湖が車窓に現れるとまもなく水戸に到着する。

 
水郡線列車 ◇ 車内の様子

 
水郡線沿線ガイド ◇ 1月10日の旅程(2)

 水戸駅はさすがに県庁所在地だけあって大きな駅で、水郡線のホームへ移動する。ここからは非電化なのでディーゼル車両で、2両セミクロス(2列+1列タイプ)の常陸大子行きである。乗客は少ないだろうと思っていたが、予想に反して行列ができており、座席を確保することができず、一番後ろに陣取り後方を展望することにした。片側が2列で片側が1列の変則クロスシートを初めて見た叔父は「こんなのがあるんだ!」と驚いていた。さて、今まで快晴だった空模様だが、風が出てきて雲も少しずつ増えて来たようだ。列車は水戸駅を離れ、市街地を出ると由緒正しき忘れられた日本の風景が展開され、ほっとする車窓が続く。常陸太田への枝線の分岐駅の上菅谷で多くの乗客が途中下車したため座ることができた。

 
久慈川 ◇ 袋田駅

 野上原駅を出ると線路は久慈川に沿って走る。どんどん高度を上げていくとまもなく袋田の滝の最寄り駅の袋田駅に到着した。ここでも観光客が何人か降りた。駅前にはバスやタクシーが待っていた。次が終点の常陸大子駅だ。

 

 


常陸大子駅

 常陸大子駅に到着した。風がかなり強く吹いており体感温度はとても寒く感じる。駅構内は広々としており、駅舎も赤い屋根が印象的な小奇麗なもので、小さな町の中心駅といった佇まいだ。次の郡山行き列車までは写真のように約2時間あるので、ここで昼食をとる予定になっている。しかし10時43分の次の列車が14時36分なんて小田急線では全く考えられない。いくつか食堂があったが、駅前の本町交差点脇にある「やま川食堂」の外観が琴線に触れたので入った。

 
やま川食堂(外観 ◇ 内装)

 
けんちんそば(サービス) ◇ 奥久慈しゃも丼

 
昔のお品書き ◇ 雑誌の紹介記事

 中へ入るとご主人が出前のけんちんそばを作っているところだったが、店内にはお客さんは誰もおらず貸切り状態になった。「ようこそいらっしゃいました。寒いから今ストーブ点けますね」といいストーブに火を点けながら「これよかったら食べていてください」とけんちんそばを一人前テーブルに置いた。いきなりの大サービスである。いやー驚きである。またこのそばが美味しい! ダシが利いていて冷たくなった身体を内側から暖めてくれる。ご主人が近くまで出前に行って来てから、我々の注文を聞いてくれた。そばを食べたのでご飯ものが欲しくなり、奥久慈しゃも丼(800円)を2つ注文する。しゃもの肉も身がしまっておりとても素晴らしい味である。ご飯の量もたっぷり入っており寒さと空腹がともに一挙に克服できた。そして、ご主人としばしのお茶の間モードに入るのに何も障害はなかった。店内に貼ってあった魚拓から釣りの話しになり、パチンコの話し、映画撮影の話し、そして相模大塚にいる娘さんの話し、四代目となるやま川食堂の話しなど多くを語り、ほのぼのとした時間を過した(釣りとパチンコはもっぱら叔父の担当(笑))。店内には昔のお品書き「支那そば十銭、しるこ五銭、肉丼十五銭」が日焼けをしながらも飾られていた。すごい駅前食堂の体験ができた。いままでも食堂でお茶の間モードに入ってサービスを受けたことがあるが、注文前にそれもけんちんそば1人前が出て来るとは奇跡的でさえある。人情深いやま川食堂のご主人に、ただただ感謝するばかりである。

 
常陸大子駅改札 ◇ 駅構内


雪景色

 さて、やま川食堂を出てから町中をブラブラし駅に戻る。水戸方面から来た列車は3両編成だったが、なんとここ常陸大子駅で後ろの2両を切り離し、1両(単行)となるとのこと。青春18きっぷ族らしき人々が多く乗車していて、もちろん座れるわけもなく、運転席後方から童心に戻って進行方向を見つめながら郡山までの1時間50分を過ごすことにした。磐城石井駅を過ぎると日陰には雪が残っており、また磐城棚倉駅を過ぎてからは一面の雪景色で北へ向っていることを実感できた。安積永盛駅からは東北本線に合流し、徐々にスピードを落として郡山駅に到着した。


1月10日の旅程(3)

 郡山からは磐越西線に乗り換えて会津若松へ向うはずだったが、磐越西線の1番線ホームがなぜか乗客でごった返している。

 
郡山駅名標 ◇ 遅れている快速列車表示(16時30分頃)

 移動してみてホームに並んでいる人に事情を伺うと「強風のために列車が1時間くらい遅れている」とのこと。なるほど16時30分頃なのに列車表示は「快速15:42 喜多方行き」となっている。折り返しとなる列車が遅れているために快速喜多方行きも出発できないのだ。気象状況には逆らえないし、並んでいる乗客が多いので、座席を確保することはあきらめて待合室で待つ。ここではゆっくりと座って待つことができる。しばらくして4両編成の列車が会津若松方面から入ってきた。しかし「快速」ではなく「各駅停車」での運行になることと、2両に切り離すというアナウンスが入った。

 
到着した列車@会津若松駅 ◇ 駅名標

 各駅停車の喜多方行きになった列車の運転手の後ろに乗り込むとその近くの通路を挟んだ席が偶然にも二つ空いていた。それまでずっと立っていたこともあり、ありがたく座らせてもらうことにする。何という運の良さであろう。結局、16時52分に出発した。列車としは1時間10分の遅れだが、我々は16時43分発の列車に乗る予定だったので、わずか9分の遅れということになる。しかし、強風は相変わらずで、徐行したり遅れている対向列車を待ち合わせたり、また翁島駅手前では「ポイントが雪のため切り換えられないので少々お待ちください」というアナウンスがあったりして、通常より約30分遅れて会津若松駅に到着した。なお到着する少し前に「この列車は会津若松で運転打ち切りとなりました。喜多方方面へ行かれる方はお乗り換えください」というアナウンスが入った。雪国の列車も、今日の強風と寒気にはギブアップといったようだった。

 
グリーンサラダ ◇ 豚キムチ


海鮮焼そば

 駅前フジグランドホテルにチェックイン後に、無料で利用できる「富士の湯」というサウナ付き温泉施設で旅の疲れを癒すことにする。カラスの行水と言われている私よりも、叔父の方が早く湯から上がっていたのは新たな発見であった。3階のレストランで、ビールを飲みながら食事をして旅の一日目が無事に終わった。
【旅程】
伊勢原 06:57〜07:57新  宿 小田急線 急行 570円
新  宿08:02〜08:15神  田 中央線 青春18きっぷ 2,300円
神  田08:16〜08:22上  野 東北本線
上  野08:40〜09:50土  浦 常磐線 快速
土  浦10:00〜10:57水  戸 常磐線
水  戸11:15〜12:34常陸大子 水郡線
常陸大子14:36〜16:26郡  山 水郡線
郡  山16:52〜18:40会津若松 磐越西線
【1 水郡線・磐越西線】  【2 只見線】  【3 上越線】