かめかめ・かめラ
東北紀行 〜駅前食堂の旅〜
(福島県〜山形県〜秋田県〜青森県〜北海道)
(2004/8/7-10)
【第二日目】
奥羽本線で秋田へ
(2004/8/8)
朝食のおにぎり
昨日コンビニで買っておいたおにぎりで朝食をとる。そして駅へ向かう。
列車表示 ◇ 米沢行き普通列車
まずは新庄へ向かう。山形新幹線を使えば早くしかも乗り換えなしで行くことができるが、福島・山形県境の板谷峠を越えるには普通列車に乗ってみようと考えて米沢行きの普通列車に乗り込み出発を待った。昔はこの板谷峠越えには四駅連続のスイッチバックがあって少しでも実感したかったからである。待っている間に隣のホームに寝台特急北斗星82号が数分停車して上野方面へ出発していった。
2両編成のセミクロスシート(ボックスタイプ)は朝早いせいもあってか乗客は少ない。しばらく市街地を走ったあと、徐々に上り坂になっていく。スピードも出ており快適である。庭坂駅、赤岩駅を経て、板谷峠を難無く越え山形県に入った。線路が下り坂になり巨大なシェルターに覆われた峠駅では、昔の駅弁のように“峠の力餅”を立ち売りしていた。路線のポイントにも覆いが多い。雪によるポイント故障を防止しているのであろう。連続スイッチバックの名残りはあまり感じられなかったが利用者にとっては喜ぶべきことであろう。米沢駅に到着した。
米沢駅前広場 ◇ 列車表示
米沢駅で37分の待ち時間がある。駅前広場を散策してみる。近代的な駅舎とともに駅前も整然と整備されていた。米沢牛の看板が目立つ。駅の構内でも米沢牛にちなんだ駅弁が多い。「牛肉どまんなか」「特製ほかほか牛肉弁当」「牛角煮弁当」「あったか牛肉弁当」「米沢牛ずし」「牛肉道場」「松茸入り牛肉弁当」「焼肉弁当バカ一代」「米沢牛たん弁当」「牛めし」「米沢牛そぼろ弁当」「米沢牛肉栄太郎弁当」「牛釜まし」「牛串弁当」などである。
山形新幹線のつばさ101号に乗り換えて新庄を目指す。新幹線はほぼ満席であった。いつの間にか単線になり左右には田園風景が広がっている。高畠駅には“フォルクローロ高畠”があり、昨年訪れた“フォルクローロ遠野”を思い出す。山形駅で2分停車。降りる乗客が多い。
新庄駅構内 ◇ 新庄駅前広場
新庄駅は国鉄時代から鉄道の要所である。南北に奥羽本線が貫き、東には陸羽東線が古川・小牛田方面に、西には陸羽西線が余目方面にそれぞれ伸びている。JRになってからは陸羽東線は“奥の細道湯けむりライン”に、陸羽西線は“奥の細道最上川ライン”と親しみやすい通称がつけられた。新庄駅構内は写真にあるように新幹線のホームが頭端式(行き止まり式)になっておりその向こう側に北へ向かう奥羽本線のホームがある。階段を昇り降りしなくても乗り換えられるつくりになっている。
◆その名も急行食堂@新庄◆
駅前広場を渡ってすぐに急行食堂があった。鉄道の要所新庄らしいネーミングである。昭和36年から営業しているようだ。
急行食堂 ◇ 店内
中華そば 500円
店内は広くテレビでは高校野球が行われていた。東海大翔洋(静岡)対尽誠学園(香川)は7回表で10対2と東海大翔洋が大量リードしている。店内ののれんの左側には写真では読めないが、「出前は急行、味は特急、値段は二等」とすばらしいコピーが書いてある(と思う)。直接見られなくて残念であった。メニューは多彩だが、辛い地獄ラーメンとみそ味の天国ラーメンというのがあった。さっぱりしたラーメンが食べたくて中華そばを注文した。新庄では“もつラーメン”が有名だと、後で知ることになるが、この店にも“もつラーメン”はあり、先に知っていればそちらを食べてみたかった。情報の整理不足である。でも中華そばは和風のラーメンであっさりしていて美味しかったからよしとしよう。
世界のかぶと虫・クワガタ展@ゆめりあ ◇ 愛をとりもつラーメン
◆最後の地ラーメン? 丸竹食堂@十文字へ◆
急行食堂を出て、まだ次の列車までの時間があるので、駅に併設されている“ゆめりあ”へ寄ってみた。夢のあるエリアで“ゆめりあ”だそうだ。展示場では“世界のかぶと虫・クワガタ展”が行われていて子供連れの家族でそこそこ賑わっていた。土産物売り場もあり、そこで“新庄名物もつラーメン”を知ることになる。コピーがふるっている。「復活!! 新庄名物 愛をとりもつラーメン」 こういう駄洒落は個人的には大好きである。
奥羽本線の秋田行きの普通列車に乗り込む。座席は都市型路線に多いロングシートである。そこで5人の地元の若者(といっても20才代前半から後半)がビールやつまみをたくさん買い込んで乗ってきた。酒盛りをしようというのである。クロスシートのボックス席でならともかくロングシートでどこまでやるかな? と疑っていたら、普通の酒盛りをやりはじめた。会話は方言なのではっきりとは聞き取れなかったが、どうも秋田まで行くらしい。ちょっと呆れたが、下手に注意でもして逆ギレされてもいやなのでがまんすることにした。マナーの問題ですな。真室川音頭で有名な真室川駅で列車交換。単線だから時々列車交換が行われる。山形・秋田県境の雄勝峠の手前には難読駅名でお馴染みの“及位”という駅がある。これで“のぞき”と読むなんて知らないと読めないでしょうね。
湯沢に長寿軒という有名な老舗のラーメン店がある。そこに行こうかどうしようか湯沢駅に到着する直前まで迷ったが、結局止めることにした。食べ過ぎになってしまうからである。湯沢駅から女子中学生6人が列車に乗ってきて急に華やかになる。6人中4人は秋田美人になる素質があるとみた。そうこうしているうちに十文字駅が近づいてきた。
十文字駅 ◇ 丸竹食堂
丸竹食堂 ◇ 中華そば 400円
十文字駅に到着した。十文字という町名は羽州街道と増田・浅舞街道が交わる地点だったからついた名前だそうだ。ここに“十文字ラーメン”と呼ばれる地ラーメンがある。札幌ラーメンや博多ラーメンや喜多方ラーメンなどの地ラーメンは数多くあり、最近では徳島ラーメン・和歌山ラーメン・高山ラーメンなども広く認知を受けているが、十文字ラーメンの知名度はまだまだであり、最後の地ラーメンとも噂されているのである。十文字駅から5分ほど歩いたところの「まっぷる北東北」に紹介されている丸竹食堂へ行った。
広い店内は6割の入りであった。中華そば専門店であるので基本は“中華そば”で、トッピングにより“こんぶ中華”“メンマ中華”“冷やがけ中華”などがある。中華そばを注文して待っていると、ひっきりなしにお客さんが出入りしている。中華そばはスープはほぼ透明で芸術的な感じがする。フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングのように芸術点があるならば満点の10点を差し上げたいくらいである。味はこんぶや煮干しを中心とした魚系のもの。魚系が苦手な人にはつらいでしょうが、非常にあっさりしています。麺も極細の縮れ麺で柔らかくおもしろい食感である。この店のすぐそばに三角そばやという店もある。食べようかと思ったが、食べ過ぎるので自粛。猛暑の中を日陰を選んで十文字駅に戻る。
横手駅前広場
◆日本三大焼そばの一つ ふじわら@横手へ◆
十文字から普通列車で10数分で横手へ到着。着。横手焼そばは、静岡県富士宮市と群馬県太田市と並ぶ日本三大焼そばの地としてその名を知られている(そんなに知られてないかな)。「駅前食堂」にはまいど食堂が載っている。また「全国ご当地麺紀行」や「まっぷる北東北」には元祖神谷焼そば屋(昭和28年創業)が紹介されている。でもまいど食堂の昼の営業時間にギリギリで間に合わないし、元祖神谷焼きそば屋は日曜定休のために、ふじわらへ行くことにした。
焼そば ふじわら ◇ 焼そば ふじわら
店内 ◇ 肉玉焼そば(並) 400円
駅から2分のふじわらは満席の盛況であった。しばらく待った後に椅子に座る。肉玉がお勧めとの店内のはり紙に素直に従い肉玉焼そば(並)を注文する。太いしっかりとした食感の麺に半熟の目玉焼きがのっており、脇に福神漬けがのっていた。紅ショウガではない。甘目で酸味の利いたソースが全体を引き締めていてなかなかの美味である。
後から来たカップルのお客さんが店主になにか話し掛けて挨拶している。どうも新婚らしく連れの女性を店主に紹介しているようがだ。そしてさらに話しは続く。どうも彼はNHKのプロデューサーのようで“列島縦断12,000kmの旅”の製作に関わった人のようだ。その番組のことは知っていたが、ほんの少ししか見ていない。8月10日から3日間と8月30日からの3日間にそれぞれ総集編が放映されるのでそれは見ようと思っていた(追記:残念ながら総集編では放映されなかった)。その番組の中で“ふじわら”が紹介されたらしい。そして客足が伸びたことなどを話している。よくよく店内を見ると、番組出演中の関口知宏と店主との写真やサインが飾ってあった。こちらも負けず劣らずの有名店であった。
横手駅へ戻り駅の待合室で列車を待つ。ポータブルラジオでは高校野球の横浜(神奈川)対報徳学園(兵庫)がはじまった。地元横浜高校、がんばれ! しばらくしてから秋田行きの普通列車に乗る。湯沢始発だからか車内は空いていた。
杉のや トピコ店 ◇ 比内地鶏卵とじ丼 1,029円
秋田駅へ到着した。西口は再開発がほぼ終了し、東口は再開発の真っ最中という状況であった。再開発という言葉はいいが、ようするに画一的になるだけなのになぁ。市民市場の中にある、十文字で食べなかった三角そばやの支店へ行った。のれんが外に出ている。よし、あの透明感あふれる中華そばをもう一杯食べようと思い、店に入ると
「お客さん、申し訳ありませんがもうお終いなんですよ」との声。ちょっと納得がいかない。のれんが出ていなくても営業している店(十綱食堂@飯坂温泉)もあれば、のれんが出ていても営業終了の店もある。東北地方はのれんはあまり関係ないのかも知れない。
趣きのある駅前食堂での食事はあきらめ、発想を転換して“究極の駅前食堂”として駅ビル内で食事をしようと決めた。秋田駅西口の駅ビルはトピコという。トピコのレストラン街の杉のやに入り、秋田にちなんで比内地鶏卵とじ丼を食べた。
今日の宿は駅にほど近いホテルメトロポリタン秋田。JR系列のホテルだ。ホテルの部屋にいると秋田駅の構内放送が聞こえてきた。
【お店のデータ】
<急行食堂>山形県新庄市沖の町2-21 0233-22-0380 10-20時 不定休
<長寿軒>秋田県湯沢市大町1-2-36 0183-73-4707 11-19時 水曜定休
<丸竹食堂>秋田県平鹿郡十文字町十文字新田字本町7-1 0182-42-1056 11-20時 木曜定休
<三角そばや>秋田県平鹿郡十文字町十文字新田字本町6-1 0182-42-1360 11-19時半 月曜定休
<まいど食堂>秋田県横手市駅前町1-1 0182-32-2875 11時半-14時,17-22時半 無休
<元祖神谷焼そば屋>秋田県横手市大屋新町字中野117-67 0182-33-4316 10-19時 日曜定休
<ふじわら>秋田県横手市寿町8-16 0182-33-1648 11時半-16時半 木曜定休
<三角そばや支店>秋田県秋田市中通4-7-35 018-833-0866 8-17時 第3日曜・第2と第4水曜・祝日定休
<杉のや>秋田県秋田市中通7-1-2 018-835-8903
【旅程】
福島(07:09)〜米沢(07:56) 奥羽本線 普通列車
米沢(08:33)〜新庄(09:58) 山形新幹線 つばさ101号 2,290円
新庄(11:23)〜十文字(12:40) 奥羽本線 普通列車
十文字(13:41)〜横手(13:55) 奥羽本線 普通列車
横手(15:10)〜秋田(16:26) 奥羽本線 普通列車
【宿泊】ホテルメトロポリタン秋田 8,925円
【1 いざ、福島へ!】
【2 奥羽本線で秋田へ】
【3 五能線経由で青森へ】
【4 津軽海峡線で函館へ】
【5 函館市内電車】