かめかめ・かめラ
東北紀行 〜駅前食堂の旅〜
(福島県〜山形県〜秋田県〜青森県〜北海道)
(2004/8/7-10)

【第三日目】
五能線経由で青森へ
(2004/8/9)



朝食のおにぎり

 今日は8月9日、長崎での原爆の日である。朝食は昨日コンビニで買っておいたおにぎりにて軽くすます。今日は快速リゾートしらかみに始発駅の秋田から乗り、まずは五能線の景色を楽しむ計画である。

 
快速リゾートしらかみ1号 ◇ 青池編成

 
1号車(途中から向きが変わる) ◇ コンパートメント

◆リゾートしらかみで五能線めぐりへ◆
 快速リゾートしらかみ1号が入線してきた。リゾートしらかみには青池編成とぶな(木編に無)編成があるが、これは青池編成である。車両は4両で1号車と4号車は展望室と座席が、中の2号車と3号車は4人用のコンパートメントになっている。コンパートメントは座面を平らにすることもでき和室感覚で利用できる。また当初は4号車が先頭であるが、東能代駅で方向が変わり1号車が先頭になる。私の座席は1号車1番1A席。つまり先頭車のかぶりつきの海側という好位置である。人気のある列車で車内放送ではすべて満席とのことであった。

 
チケット ◇ 遠くに見えるのが八郎潟

 まずは1号車が最後尾となり出発である。奥羽本線を北に向かい、左側に八郎潟が見える。左右ともに穀倉地帯であり田園風景が美しい。田園風景を見ると心が和むのは日本人のDNAの影響なのだろうか。1時間弱で東能代駅に到着。向きを変え1号車を先頭として五能線を進む。次の能代駅では5分の停車。能代工業高校というバスケットの強い高校があるからだが、“バスケットボールのまち 能代”とあり、駅にはバスケットボールチャレンジとしてリングが設置してあった。誰か挑戦していたのかな。世界遺産の白神山地の入口であるあきた白神駅をすぎて、青森県に入るとすぐに車内放送があり
「青森県に入りました。これから海岸線は撮影ポイントが続きます。トンネルもありますのでシャッターチャンスを逃さないようご注意ください」ととてもやさしく丁寧なアナウンスであった。

 
車窓風景 ◇ 車窓風景

 十二湖駅には十二湖やサンタランド、ウェスパ椿山駅からはスロープカーにのってウェスパ椿山などの観光スポットがあり徐々に乗客が減っていく。車内はのんびりとしてきた。線路はほとんどが海岸線にそっているので、これでもかこれでもかと海岸線の風景が目に入る。

 
車窓風景 ◇ 車窓風景


車窓風景

 同じ座席に座っているのも飽きてきたし、展望室からも人がいなくなったので、すぐ目の前の展望室から運転席越しに景色を楽しんだ。

 
車窓風景 ◇ 車窓風景

 青春18きっぷのポスターにも登場したことのある驫木(とどろき)駅が近づいてきた。駅には停車しないのでシャッターチャンスを逃さずに撮ったのが次の写真。そして千畳敷。ちょっとわかりにくいかな。

 
驫木駅 ◇ 千畳敷

 鯵ヶ沢駅で海岸線に別れを告げる。そしてここから五所川原までの20分間は、先頭の展望室、つまり私の目の前で、津軽三味線の生演奏と民謡で楽しめる。乗っていること自体が観光になっている。迫力ある津軽三味線の演奏が終わると五所川原駅に到着した。

 
津軽三味線の生演奏 ◇ 五所川原駅

◆老舗のそば屋で味わう中華そば 亀乃家@五所川原◆
 五所川原には津軽ラーメン街道というラーメン集合施設があり行きたい気持ちもあるが他の店を優先することにする。まずは“立佞武多の館”の裏でNTTの向かい側にある亀乃家という創業100年を超えるそば屋に向かった。中華そば 400円、中華ざる 450円、天中華そば 550円などのメニューがある。もちろんそばのメニューもある。

 
亀乃家 ◇ 中華そば 400円

 スープは和風であっさりしており毎日でも食べられるようなもの。麺は中細縮れ麺で独特の食感である。テレビでは高校野球中継が映っており、明徳義塾(高知)が盛岡大付(岩手)を六回裏で12対1とリードしている。今年も明徳は強いかな。
 さて青森の祭といえば“ねぶた祭”であるが、“青森ねぶた”と“弘前ねぷた”と“五所川原立佞武多(たちねぷた)”とで三大ねぶたと呼ばれている。2004年4月にその立佞武多を常設展示し祭りの雰囲気を味わえる“立佞武多の館”がオープンした。高さ22メートルで重さ17トンもの立佞武多が3体展示されている。なかなか圧巻であった。感激した。

 
立佞武多:杙(くい) ◇ 立佞武多:白神

 
立佞武多:白神 ◇ 立佞武多:レプリカ


立佞武多:五穀豊穰(ビデオ上映)

◆典型的な駅前食堂 平凡食堂@五所川原◆
 立佞武多で興奮した気持ちを静めるかのように駅から0分の平凡食堂へ向かった。「鉄道の旅」に掲載されているお店だ。朝5時から営業で年中無休ということであるが、この営業形態は決して平凡ではない。エアコンはなく大きな扇風機が羽を回していた。

 
平凡食堂 ◇ 店内

 
店内 ◇ チキンライス 600円

 レトロな内装に合わせて、注文もチキンライスとちょっと昔の人気者にしてみた。ほどなく出てきたチキンライスは懐かしい味でとても美味しい。おまけにわかめと豆腐のみそ汁付きである。
「よろしかったらどうぞ」
と特別にナスの漬物も出てきた。ちょっとした心使いがうれしい。
 お勘定の時に少し話しをすることができた。
「鉄道の旅という本に紹介されているのを見てここに来たんですよ」
「あぁ、あの本か。それはありがとう」
「朝早くから営業されているようですが、お客さんはいるんですか」
「朝は地元の常連のお客さんばっかりじゃ」などと取り留めのない内容である。

 
津軽五所川原駅 ◇ ホーム

◆津軽鉄道で太宰治の出身地の金木へ◆
 冬はストーブ列車、夏は風鈴列車、秋は鈴虫列車で知られている津軽鉄道に乗って、太宰治の出身地の金木町へ向かう。車両にも“走れメロス”と書いてある。駅構内に留まっていたストーブ列車も覗かせてもらった。

 
走れメロス ◇ ストーブ列車

 7〜8月は風鈴列車として運転している。しかしながら新型車両なのでエアコン設備があるため自然の風で音を奏でることはなく、車両が揺れた時にのみ音がでる風鈴はちょっと哀しい。太宰が見たらなんと言うだろうか。

 
車内の風鈴 ◇ 田園風景

 車窓からは田園風景が広がり、リンゴ畑も見え隠れしている。金木駅の次の芦野公園駅で下車する。金木駅方面へ歩いて、“太宰治思い出道路”へ入ると“太宰治思い出広場”があった。


太宰治思い出広場

 10数分歩くと斜陽館についた。中に入り見学する。随分と立派な生家だったんだな。

 
斜陽館全景 ◇ おなじみの黒マント

 
屏風絵 ◇ 中庭

 斜陽館から徒歩7分ほどで金木駅に戻る。SMAPの香取慎吾などの番組で使った落書き列車がおいてあった。金木駅のホーム待ち合い室にも風鈴があったがこちらは自然の風で音を奏でていた。

 
金木駅 ◇ 落書き列車

 津軽五所川原駅に到着しJRのホームへ行き、五能線の列車を待つ。普通列車で、五能線と奥羽本線の接続駅である川部駅へ向かう。川部駅で36分待ちで奥羽本線の青森行き普通列車に乗り換える。待ち時間に寝台特急日本海が川部駅を通過し、リゾートしらかみ3号のぶな(木編に無)編成列車が川部駅に到着した。


リゾートしらかみ ぶな編成

◆美どり@青森駅前銀座通り◆
 青森駅に到着して、「駅前食堂」に掲載されていた埼玉屋食堂を探す。再開発が進んでいて位置関係がよくわからない。駅広市場ぴあに目をつけてその辺りを探すがみつからない。市場自体も店じまいの時間帯であり活気に乏しい。再開発で店を閉めた可能性もあるなぁ、などと思いつつも店が見つからない。また明日の朝にでも探そう。
 見つからなかった時のことは考えてあり、「ラーメンのある町へ!」に紹介されていたマル海ラーメンに向かう。駅からは徒歩10分くらいか。店に着いたらシャッターが降りていて張り紙がしてある。
「床の改装のためしばらくお休みいたします」
って臨時休業ってことだね(泣)。
 また駅前まで戻り出直しである。駅広市場ぴあから見て駅前ロータリーの反対側(北側)に位置する青森駅前銀座通りに行ってみる。もうお腹も空いてきたし適当な処へ入って腹ごしらえしよう、と思っていたところへ上品そうなおばあさん(こういうのが“やり手○○”か)に声をかけられた。
「お兄さん、寄ってかない?」
フラッとその店に入ってしまった。その店の名前は美どり


青森駅前銀座通り

 ビールを飲み、イカ刺しと帆立の塩焼きを注文する。
「お客さん、どちらから?」
「神奈川県から」
「新幹線で八戸まで来て青森へ来たん?」
「違うよ。福島から山形、そして秋田を通ってこちらへ。今日は五能線へ乗ってきて、金木まで行ってきた。明日は函館に行って飛行機で帰る」
「五能線は景色がいいらしいねぇ」
「よかったよぉ。ところでこの近くに埼玉屋っていう食堂はない?」
「確か市場の二階にあったんではなかったか」
「さっき市場へ寄ってみたけど二階はなかったなぁ。どこに二階があるの?」
「二階じゃなくて“向かい”っさ」
埼玉屋食堂が存在しているかどうかと場所を聞きたかったが、なまりがかなりきつくて聞き取れない。ただ、さっき行った駅広市場ぴあの近辺にある可能性が出てきた。

 
イカ刺し 600円 ◇ 帆立の塩焼き 800円

 ホテルに戻る前にコンビニで缶チューハイを買い部屋に入る。テレビをつけると福井県美浜町の美浜原発で四人死亡の大事故が起きていた。ご冥福を祈る。
【お店のデータ】
<亀乃家>青森県五所川原市上平井町116 0173-35-2474 9時半-17時 日曜定休
<平凡食堂>青森県五所川原市字大町1 0173-34-2522 5-21時半 無休
<マル海ラーメン>青森県青森市安方2-2-16 017-722-4104 10時半-21時 日曜定休
<美どり>青森県青森市安方1-3-24 017-722-4809
【旅程】
秋田(08:26)〜五所川原(12:04) 奥羽本線・五能線 快速リゾートしらかみ1号 510円
津軽五所川原(14:00)〜芦野公園(14:27) 津軽鉄道 620円(14.3km)
金木(15:37)〜津軽五所川原(15:59) 津軽鉄道 530円(12.8km)
五所川原(16:12)〜川部(16:43) 五能線 普通列車
川辺(17:19)〜青森(17:57) 奥羽本線 普通列車
【宿泊】青森国際ホテル 7,000円
【1 いざ、福島へ!】  【2 奥羽本線で秋田へ】  【3 五能線経由で青森へ】  【4 津軽海峡線で函館へ】  【5 函館市内電車】