かめかめ・かめラ
山陰紀行
(岡山県〜鳥取県〜島根県〜広島県〜兵庫県)
(2006/8/24-28)
【3 奥出雲おろち号(木次線)】
(2006/8/26)(記 2006/9/9)
8月26日の行程
寝過ごした夢を見た。起きたら9時を過ぎており、楽しみにしていたトロッコ列車の奥出雲おろち号に乗れないという夢だった。夢とわかった時は安堵した。さて今日からは18きっぷを使う。早めにホテルを出る。今日も快晴である。松江駅も高架で近代的になっている。宍道行きのロングシート2両ワンマンに乗り込む。車窓の右手には宍道湖が見える。
松江駅舎 ◇ 駅前
車窓(宍道湖)
宍道駅は“石灯籠とみずうみの町”ということで、駅には来待石のベンチがあった。宍道からは待ちに待った木次線である。セミクロス1両に回送車両を2両連結した木次行きは、満員の観光客を乗せて出発した。
宍道駅舎 ◇ 駅名標
跨線橋 ◇ 構内
ベンチ ◇ 乗り換え案内
木次に着くとさらに観光客の数は増えていた。奥出雲おろち号がゆっくりと入線してくる。先頭がトロッコ車両、次いで連結車両になり、機関車が最後尾についており、押し上げる形で登って行くのだろう。子供連れやお年寄りのグループも多く満席である。まさに老若男女といった状態である。私の座席は15番A席で一番角の景色が見やすい席である。B〜D席は小さな子供であり荷物を置いたきり両親や祖父母の元へ行ってしまったようで独占状態になる。トロッコ列車なのでオープンエアで、葉も飛び込んでくるし、トンボも客席に遊びに来る。座席は木製で懐かしささえ感じる。トンネル内はヒンヤリとしており涼しいよりも寒いくらいだ。トンネルに入ると天井の電光が光る。おろちをイメージしているようだ。
木次駅おろち号案内 ◇ おろち号待人
おろち号先頭 ◇ おろち号最後部
チケット ◇ 車内
車内
車内天井 ◇ (悪天候のための)連結車両
日登駅名標 ◇ 出雲八代駅
出雲三成駅名標 ◇ おろち号パンフレット
オレンジカードの車内販売があったのでまた買ってしまった。記念はがきは全員に配布された。
オレンジカード ◇ おろち号乗車記念はがき
亀嵩駅に到着したら扇屋のご夫婦がホームでそば弁当(500円)を販売していた。予約していた旨を告げ一つ購入。他のお客さん達も買って食べていた。そばの香りと非常になめらかな食感が気に入った。
駅売りの“そば弁当”
次の出雲横田駅からは「噂の生どら」などの車内販売が始まった。若い女性二人が車内に乗り込み、デッキの部分で販売している。「噂の生どら(小倉)」を買ってみた(165円)。これがうまい! 食べ終えてから今度は「噂の生どら(抹茶)」を買ってしまった。こちらもうまかった!
噂の生どら販売 ◇ 生どら(小倉)
生どら(小倉) ◇ 同(抹茶)
八川駅ではやはりホームで八川そばの販売があった。こちらでも大人気。すごいイベント列車である。
そば販売@八川駅 ◇ 先頭からの眺め
車窓
車窓 ◇ 子供たち
出雲坂根駅が近づいてきた。この駅は三段スイッチバックと延命水で有名だ。ここで5分ほど停車するので多くの乗客が車外に出て、延命水を飲んだり、トロッコ列車の写真をとったりしている。
おろち号@出雲坂根駅 ◇ 出雲坂根駅周辺図
出雲坂根駅名標
出雲坂根駅 ◇ 駅前
延命水の由来 ◇ 延命水1
延命水2 ◇ 青空
標高差があるところを登るために、Z型の非常にきれいなスイッチバックがある。Zの斜めの部分の距離は約800mである。スイッチバックを登っていくと、右手下方に出雲坂根駅が小さく見える。
出雲坂根駅の手前で見えるZの斜めの部分の線路 ◇ 出雲坂根駅の行き止まり方面
Zの斜めの部分を機関車が先頭にたって進む(見えてきた線路がこれから走る線路) ◇ 再度方向転換を重ねる(ポイントには雪の影響をなくすために屋根がついている)
さきほどまでいた出雲坂根駅
しばらくすると正面に赤い三井野大橋が見え、その右手には奥出雲おろちループ橋が見えてくる。雄大な車窓である。三井野原駅を過ぎると急に大雨となった。まさに篠つく雨である。その雨が小降りになると、終点の備後落合(びんごおちあい)駅が見えてきた。ビンゴ!といっても賞品が当たるわけではない(笑)。
三井野大橋 ◇ 奥出雲おろちループ橋
三井野原駅 ◇ 突然の大雨
備後落合駅は小学校時代に時刻表を見るようになってからずっと気になる駅の一つであった。中国山地の山あいにある鉄道の要衝となる分岐駅。一体どんな駅なんだろうと40年間思っていた。何だか初恋の人に40年ぶりに会うような感じを抱いていた。実際にはひっそりと寂れていて感慨はあまりなかった。きっと初恋の人にも会わない方がいいのだろう。1970年8月の木次線の時刻表が手元にある。ちょっと見にくいが、夜行を含めた急行が片道3本も走り、山陰の出雲地方と山陽地区を結ぶ貴重な陰陽連絡線であったことがわかる。
おろち号@備後落合 ◇ おろち号のぼり
備後落合駅舎 ◇ 駅名標
駅構内 ◇ 1970年8月の時刻表
備後落合駅で約20分間過ごした後、奥出雲おろち号に乗って木次まで戻る。今度の座席は1番A席(一番えぇ席!)でやはり景色の見やすい特等席。でもB〜D席までは子供連れの5人の家族らしく、1番A席に座るのが忍びなくなり譲って他の席に座った。
車窓
ところで、今回特に気になったのが鉄ちゃん(鉄道好き)の行動だ。18きっぷシーズンだからか鉄ちゃんがたくさんいた。私もその一人である。鉄ちゃんは車窓からの景色や時刻表などに熱中するか、寝ているかで見ていてあまり気持ちのよいものではない。車内が空いている時にはよいが、混んできたら席を詰めたり譲ったりする鉄ちゃんはほとんどいなかった。そこで“鉄ちゃんイメージアップ作戦”を敢行することにした。まずはこれがパート1である。移った席は進行方向に背を向けるあまり望んだ席ではなかったが“鉄ちゃんイメージアップ作戦”の任務上あきらめなければならない。対面の席は二人のオヤジさんがビールをちびちびやりながら、乾きものをつまんでいる。地元の人で、私が「神奈川から来た」と言ったら、神奈川と島根などとの違いをいろいろと尋ねられた。方言が強くて半分くらいは何言ってるんだかわからなかったが、そこは母国語、なんとか意思の疎通はできたようだ。そしてガムをもらった。
来た道を戻り出雲坂根駅についた。今度は10分ほど停車する。ゆっくりと駅内外を見て回る。延命水は二ヶ所にあった。列車に戻ると前のオヤジさんから今度はヤキトリを1本いただいた。出雲坂根駅前に屋台が出ていたがそこで買ったそうだ。うれしいことである。素直にいただく。
帰りは亀嵩駅で途中下車する。ここは松本清張の「砂の器」の舞台となった土地だ。また当ホームページの別のコーナーである“かめかめステーション”の取材対象駅(笑)でもある。さらに駅舎にある扇屋に寄り今度は店内でそばを食べてみようという魂胆である。駅の写真を一通り撮った後、扇屋に入り“割り子そば(650円)”を注文する。店内は約8割の入りであり、車で来るお客さんの方が列車利用のお客よりも圧倒的に多い。列車本数が少ないので当たり前といえば当たり前だ。割り子そばは独特の滑らかさとそばの香りがマッチしてなかなか美味しかった。
おろち号にお別れ ◇ 亀嵩駅舎
駅名標 ◇ 扇屋の看板
次の列車までまだ2時間ほどあるので、タクシーで出雲横田駅まで戻ることにした。駅の周辺にはタクシー会社などというものはなく、国道に出てつかまえようと思い、1kmくらい歩けば国道に出るかなぁという感じでブラブラ歩き始めたら、軽トラックに乗った地元のおじさんが“出雲三成駅へ行くなら乗ってきな”と声をかけてくれた。出雲横田駅へ行きたいこと、そして国道に出てタクシーをつかまえたいことなどを話すと、扇屋からタクシーを呼んでもらったほうがよいとのアドバイスを得た。亀嵩駅まで戻り扇屋のご主人にお願いしたタクシーを呼んでもらった。こちらの人々は本当にやさしい人たちである。
5分くらいで亀嵩タクシーがやってきた。隣の出雲横田駅まで行くまでの道は別名“そば街道”と言われていてそばの美味しい店が多いことや、いろいろな地元の話しで盛り上がる。さすがにタクシーは早い。あっという間に出雲横田駅である。2,500円の出費も安く感じられる。出雲横田駅は社殿造りの駅舎が有名で、また出雲そろばんの産地としてもこのあたりは有名で“雲州そろばん伝統産業会館”も駅の近くにある。
雲州そろばん伝統産業会館 ◇ スタンプ
職人の仕事場と道具 ◇ 日本一長いそろばん(4m23cm)
出雲横田駅舎 ◇ 駅名標
改札内 ◇ 稲田姫の像
16時7分の出雲横田始発の列車(ロングシート1両ワンマン)で宍道に向かうが、反対方面への奥出雲だんだんおろち号に乗ろうとしているお客さんがホームに溢れている。さすがに人気のあるトロッコ列車である。この列車は木次駅で14分の停車をした後に宍道駅に向かう。
奥出雲だんだんおろち号待ち
木次駅舎
木次駅舎 ◇ トイレ外壁
宍道駅では、明日乗る予定の三江線(江津〜三次)全線と芸備線の備後西城〜備後落合間が代行バスで運行中との情報を初めて知ることになった。7月豪雨で線路に被害がでたらしい。運が悪いが情報収集できていなかったことも情けない。しかしポジティブ思考の私としては“初めて代行バスに乗れるチャンス!”と捉えて楽しみにした。
【旅程】
◆松江(08:15)〜宍道(08:35) 山陰本線 青春18きっぷ 2,300円
◆宍道(09:14)〜木次(09:47) 木次線
◆木次(10:00)〜備後落合(12:11) 木次線 奥出雲おろち号 510円
◆備後落合(12:29)〜亀嵩(13:56) 木次線 奥出雲おろち号 510円
◆出雲横田(16:07)〜宍道(17:42) 木次線
◆宍道(18:13)〜出雲市(18:36) 山陰本線
◆出雲市(18:41)〜浜田(20:40) 山陰本線
【1 サンライズ出雲】
【2 餘部〜境港】
【3 奥出雲おろち号】
【4 江津〜三次】
【5 三次〜津山】
【6 鳥取〜姫路】
【7 播州赤穂〜岡山】