かめかめ・かめラ
南三陸紀行
(岩手県)
(2014/11/22-24)

【4 三陸鉄道南リアス線(甫嶺駅・恋し浜駅)】

(2014/11/23)(記 2015/5/2)

南三陸紀行29 恋し浜駅停車



 列車は普通列車で、観光列車ではないのですが、恋し浜駅に数分停車しました。



 お客さんはほぼ全員が途中下車しています。「恋」という字が駅名にあるのは、母恋駅(ぼこい:室蘭本線:室蘭市)恋ケ窪駅(こいがくぼ:西武国分寺線:国分寺市)恋山形駅(こいやまがた:智頭急行線:鳥取県智頭町)とここ恋し浜駅の四つしかないという希少価値の駅なのです。実はもう一つ恋路駅(こいじ:のと鉄道能登線:石川県能登町)があったのですが、2005年にのと鉄道能登線の廃止とともに無くなりました。

 

 またホームには幸せの鐘があり、越喜来(おきらい)湾の絶景が眺められるという場所に駅はあるのです。それ以外にも待合室内にホタテ貝の絵馬掛けもあるため、見所となっているのです。そのために乗客はいろいろと写真を撮っています。私は後でまた来るので、周囲の様子を頭に入れていました。
南三陸紀行30 甫嶺駅

 

 恋し浜の次の駅の甫嶺で途中下車しました。


甫嶺駅出発

陸前赤崎1345ー1403甫嶺(ほれい) 三陸鉄道南リアス線(釜石行き)

 

 駅名標には「金のしずく」と書いてあります。昔はこの近くの鉱山で金が採掘されていたそうです。



 山の木々は少し紅葉しているものもあります。



 こちらは恋し浜・盛駅方面です。



 階段を降りてみました。駅前ロータリーには地元のおばあちゃんと嫁さんがタバコをすっていました。なんでこんな場所でタバコを吸っているのでしょうか。自宅が禁煙なのでしょうか?
南三陸紀行31 甫嶺駅前



 甫嶺駅から海岸まで歩いてみましょう。このように壊れたブロックがあるところには住居があったのでしょう。まさに「兵どもが夢の跡」といった感じです。



 海の手前での工事のために、海沿いまで近づくことはできません。



 高い場所に上って海沿いを見ることができました。工事のまっただ中といったところでしょう。

 

 甫嶺駅に戻りましょう。線路沿いには「三陸鉄道 甫嶺駅植樹祭 2014/6/26」と記されています。半年前に植樹が行われていたようです。これからの成長を期待しましょう。
南三陸紀行32 甫嶺〜恋し浜


三陸鉄道南リアス線(盛〜三陸)

 甫嶺からは恋し浜駅に戻ります。



 甫嶺駅の待合室です。とてもきれいな待合室です。

   



 恋し浜方面の列車に乗り込みました。車窓からは写真のようなすばらしい景色が楽しめます。工事が完成したらどのように景観が変わるのでしょう。



 乗った列車はレトロ車両のため車内のシートもご覧のような特別仕様になっています。

甫嶺1445ー1453恋し浜 三陸鉄道南リアス線(盛行き)
南三陸紀行33 恋し浜駅

 

 2両編成の車両が恋し浜駅に到着しました。この列車も数分停車するため乗客の多くはホームに降りて景色を眺めたり写真を撮ったりしています。



 駅名標には「愛の磯辺」と書いてあります。


恋し浜駅出発

 ホームに降りた乗客のほとんどはまた列車に乗り込み去って行ってしまいました。結局下車したのは、私以外では、男性2人と女性3人の若者5人組だけでした。私を入れれば3対3になるよ、という心の叫びは当然ながら届くわけなく、もちろん別行動です。



 こちら側は盛駅方面です。



 そしてこちら側は釜石駅方面です。トンネルに挟まれた駅であることがわかります。

 

 高台にある駅から長い階段を降りてきました。
南三陸紀行34 小石浜漁港



 高台にある恋し浜駅から港に向かって歩いていきました。徐々に海が近づいてきます。



 途中には「東日本大震災津波到達地点」と書かれたものがありました。駅舎は被害を免れたようですが、海抜15mくらいまで津波が来たようです。

 

 「小石浜水産物荷捌き施設」の上には「水産業経営基盤復旧支援事業」という文字が書いてあります。

 恋し浜駅は1985年10月に新設されましたが、当初の駅名は地名から小石浜(こいしはま)駅でした。2009年7月に地元で直販されているホタテブランド「恋し浜」にちなんで駅名を恋し浜駅に変更しました。



 もう漁は終えたようです。和やかな時間が流れています。水面にはかもめでしょうか、白い鳥たちが戯れています。



 漁港の先端では釣り人が釣り糸を垂れています。

 

 越喜来湾の景観をしばし楽しみました。
南三陸紀行35 恋し浜駅ホーム

 

 もう一度ホームに戻ります。駅名標ももう一度。「三鉄の 藍(藍)の磯辺の 小石(恋し)浜 かもめとまりて 汐風あまし」。これは1985年に三陸鉄道が開通し、同時にこの地にこの駅が誕生した際に、地元の人が詠ったものなのです。



 ホームの端には「クウェート国からのご支援に感謝します」と書かれたパネルがありました。鉄道の復興に多大な協力をいただいたようです。



 幸せの鐘です。周りに誰もいないので、鳴らしてみました。


恋し浜駅幸せの鐘



 再び越喜来湾を見下ろします。太陽の角度が変わると、若干印象が異なります。
南三陸紀行36 恋し浜駅待合室

 

 さてこの駅が有名になったのは、駅名と幸せの鐘と、もう一つがこの待合室の中です。前述しましたが、地元のホタテブランド「恋し浜」にちなんで、ホタテ貝の絵馬掛けで埋め尽くされているのです。神棚も設置されており、もう「恋し浜神社」と言ってもいいようです。

 

 待合室ですから、当然ながらベンチがあるのですが、ホタテ貝に遠慮して前の方へ出てきてしまっています。それにしてもすごい量です。待合室のほとんどがホタテ貝の絵馬でいっぱいです。このままだともう少しでホタテ貝のための部屋となってしまい、待合室としての機能がだんだん減っていくことでしょう。

 

 皆さん、思い思いのお願い事を書いていますね。内容を読んでいるだけで楽しいです。



 この発砲スチロールにホタテ貝が置いてあれば、自由に書いていいみたいですが、残念ながら空っぽでした。



 恋愛成就のお願いが多いように感じましたが、中には学業成就(希望校合格願い)のものもありました。



 さき子さん、願いはかなったでしょうか?



 八神純子さん直筆の絵馬もありました。「みずいろの雨」「思い出は美しすぎて」「パープルタウン」などのヒット曲もありましたね。私と同世代なので、懐かしく思いました。現在はアメリカ在住だそうですが、東日本大震災には被災地での支援活動を行ったようですが、たびたびこの地を訪れているのでしょうね。

 待合室で次の列車を待っていましたが、人気の駅だけに車で来て、駅を見学する人も多いのです。男性1人と女性4人の年配客や、男性一人の撮り鉄らしき中年客など。気のいい私はシャッター係を務めたのは言うまでもありません。


恋し浜駅貸切列車到着

 

 予定より早く列車が到着したので、あれっと思いましたが、臨時団体専用列車でした。この駅で一時停車して乗客が一斉にホームへ降りました。そしてまた列車で去っていきました。再び待合室に戻りましたが、夕方になり気温もだんだん下がってきました。マフラーと手袋と帽子を取り出します。
南三陸紀行37 恋し浜〜釜石



 恋し浜から終点の釜石まで行きます。



 次の列車はレトロ列車でしたが、満員で座れません。本当に乗車率が高い路線です。



 釜石に到着して乗客が席を立ったので、レトロ用座席をパチリ!

 

 釜石駅は「鉄と魚のまち」です。新日鉄釜石で有名でしたね。

恋し浜1634ー1713釜石 三陸鉄道南リアス線(釜石行き)
南三陸紀行38 釜石駅

 

 三陸鉄道釜石駅の待合室にはご覧のようなジオラマが設置されています。



 駅スタンプは、鉄道むすめのちょっと萌え系のものでした。

 

 駅前にはラグビーボールとラガーマンのモニュメントや、穴あきパネルがありました。



 釜石の夜は早いです。17時前なのに真っ暗です。そしてもちろん寒いのです。列車内ではずしたマフラーと手袋と帽子を再び装着します。温かいラーメンでも食べようと思い、事前に調べてあった呑んべえ横丁のこんときというラーメン屋に行くと、日曜日は15時までの営業となっていました。残念です。

 



 駅前に戻りシープラザ釜石へ寄り、震災前後の写真展を見てきました。改めてですが、震災の被害の大きさを感じます。
南三陸紀行39 工藤精肉店食堂部

 予定の食堂がやっていなくてもへこたれません(笑)。次候補のお店を調べてあるのです。そのお店は釜石駅から徒歩約5分ほど。大渡橋(おおわたりばし)を渡った交差点の角にあります。こちらは営業していました。工藤精肉店食堂部(工藤食堂)です。1階が精肉店で、2階と3階が食堂になっています。当然ながら肉類が中心のメニューなのですが、どうしてもラーメンが食べたいので、チャーシューメン650を注文しました。

 

 恐るべきスピードで出てきたチャーシューメンは、チャーシューはジューシーな香りのモモ肉で、スープはあっさりしていますが、ショウガがピリッと効いています。ショウガ好きには美味しいスープでした。

 周りを見渡すと他のお客さんは、トンカツ定食、チキンカツ定食、ポークソティー定食、カツカレーなど肉類を注文しています。どれもこれもボリュームたっぷりです。ガテン系には大人気のようですね。
南三陸紀行40 タウンホール釜石

 予約していたホテルにチェックインします。楽天トラベルからの申し込みでしたが、フロントの人の勘違いか、前金ということでクレジットカード精算をしてもらいました。私の勘違いかと思い、部屋に入ってパソコンで確認すると、楽天トラベルを通しての自動引き落としで予約していました。もう一度フロントで確認してもらい、クレジットカードでの返金手続きをしました。

 近くの飲食店を尋ねると、地図をもらいましたが「日曜日なので開いているお店は少ない」ということでした。まぁ確かに少ないし、駅からここまで歩いて来ても寂しい状況なのは理解できました。まだまだ復興途中なのでしょう。

 

 一ノ関のベイシーでお勧めされたタウンホール釜石はホテルからごくわずか(徒歩2−3分)のところでした。早速行ってみることにしました。お店は階段をあがった二階にありました。

 

 店内はベイシーを一回り小さくしたようだが明るい感じです。こちらで流れるジャズはクラシックのようにおとなしい印象がありました。お店によって音楽が違うのか、たまたま私が行った時間帯だけそうなるのかはわかりません。何せジャズ初心者なのですから。途中で地元の年配者らしき人と外人、それに通訳の人3人で来店しました。東日本大震災の津波のことや、その時の連絡手段のこと、お店が略奪にあっていないのかどうかなどを聞いていたようでした。

 タウンホールからの帰りにコンビニでアルコールとつまみを買ってホテルに戻ります。テレビでは高倉健の追悼映画「あなたに」をやっていました。映画は時間がかかるので、バラエティ番組やスポーツ番組を見ました。それにしても白鵬の優勝32回というのは金字塔には違いありませんが、他の日本人力士がだらしないと思うのは私だけではないでしょう。
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