かめかめ・かめラ
北海道東・道北紀行
(北海道)
(2012/10/3-9)

【5 森林・海岸そして湿原 〜かきめし〜】

(2012/10/5)(記 2013/5/8)


   
地図 ◇ 釧路駅 ◇ 列車案内

 今朝の天気は曇っていますが、予報だとこれから晴れてくるようです。予報が当たることを期待しましょう。6時34分発の厚岸行きに乗り、厚岸まで行きます。釧路から厚岸を経て根室まで行く路線は根室本線ですが、特別に花咲線とも呼ばれています。花咲ガニで有名ですね。道内時刻表では「根室本線(愛称・花咲線)」と記載してあります。

 
釧路駅スタンプ

 スタンプ台は、釧路湿原駅の模型になっていました。スタンプはちょっと読みにくいですが「幣舞橋(ぬさまいばし)のある街・釧路  JR北海道 釧路駅」と書いてあります。

 
駅名標 ◇ 太平洋炭礦の海底炭

 太平洋炭礦は釧路に本社のある会社ですが2002年に石炭採掘事業から撤退しました。往時は釧路沖6km、海面下−600mから採掘していたのですね。現在では釧路コールマインが事業を引き継いでいます。

 
釧路駅 湿原の鐘

 ホームの東側の端には、枠組みにレールを利用した「釧路駅 湿原の鐘」がありました。これを鳴らすと幸せになれるのでしょうか。

   
厚岸行き車両

 厚岸行き列車は単行(一両)ワンマンで、固定お見合い式セミクロスシートで、トイレ付きです。シートはボックスタイプよりは座り心地がよく、窓は二重窓ですが開けることはできます。

 出発前に地図や道内時刻表を広げていると、車内点検中の運転士さんから
「おはようございます。ご旅行ですか?」と声をかけられました。
「えぇ、鉄道が好きなので、一昨日から北海道に来ています。」と返事をしました。
「どちらからですか?」
「神奈川からです。昨日は滝川から釧路まで最長鈍行に乗ってきました。」
「別保という駅を過ぎると、おそらくエゾシカが見れると思いますので、楽しみにしていてください。」
親切な運転士さんです。

 出発時の車内の乗客を数えると5人でした。武佐駅でおじさんが一人降りましたが、女子高生が一人乗って来たので5人は変わらず。地盤が軟らかいのかスピードをかなり落として走る区間もあります。

 
別保駅

 別保駅に到着しました。別保駅を出発して国道44号線に別れを告げると、原野の中を走るようになりました。頃合いを見計らって前方に移動します。


別保〜上尾幌

 「おそらく今日はエゾシカが見られると思いますよ。日中は暑いので森の中にいるのですが、朝方は出てくるんですよ」など教えてくれました。列車に衝突することもあるようです。昨日の古瀬駅での運転士さんとの会話を思い出しました。衝突が軽ければ動物は逃げて行くのですが、列車の運行に支障が出る場合もあり、その時は運転士が動物を移動させて運行を続けるようです。クマの場合は群れで行動し、襲われると命の危険もあるため、クマの移動には保線員とともにハンターに出動を依頼するのだそうです。JR北海道の列車と動物との接触の約7割が釧路〜根室の花咲線で起きているそうです。

 上尾幌駅に到着しました。ここで列車交換ですので4分停車します。 「おかしいですね。今日はエゾシカが見られると思いましたが・・・」と運転士さんは申し訳なさそうに話します。 「この先もエゾシカが出るかも知れない区間がありますから期待していてください。そして、門静から厚岸までは太平洋岸を通りますのでいい景色が見られますよ。」と説明してくれました。

 向こう側の千鳥式ホームに対向車がやって来ました。「あっ、二両目がルパン三世号ですね。ルパン三世の原作者がこの先の浜中町の出身なので、この4月から走り始めたんです。」と教えてくれました。
「お客さん、厚岸で降りてどうされますか?」と尋ねるので、
「私は厚岸9時6分発の根室行きに乗る予定です」と答えると、
「それ、ルパン三世号で運行されますよ。よかったですね」と教えてくれました。さらに「根室駅を出て左側にある観光案内所内の売店で“オランダせんべい”が売っていますのでよかったら買ってみてください。おもしろいですよ。」とも教えてくれました。
 さぁ、発車時間が迫ってきました。

   

 
ルパン三世号@上尾幌

 ルパン三世号がよく見えるように運転士さんがゆっくり走ってくれたように感じましたが、きっと気のせいでしょう。

 

 
上尾幌〜尾幌

 上尾幌からも原野が続きます。結局エゾシカは現れませんでした。これもシカたがないことでしょう(笑)。

 
尾幌駅(貨車駅) ◇ 尾幌〜門静

 尾幌駅は貨車駅です。不要になった貨物車両を駅舎に転用したものです。やけにかわいらしい貨車駅だと思いましたが、貨車駅コンテスト第一位の駅舎でした。門静までは、まだまだ原野で単調な景色が続きます。

 
太平洋@門静〜厚岸

 門静駅を出るとすぐに太平洋が目の前に迫ってきます。少し雲が多いのが残念ですが、海岸線のすぐそばを走るので迫力があります。前方に厚岸半島が見えています。

   
厚岸駅名標 ◇ 名所案内 ◇ 駅構内

   
あっけし地図 ◇ 国泰寺徳川葵の紋 ◇ 厚岸駅舎

 厚岸駅に着きました。いろいろとお話しをしてくださった運転士さんにお礼を言ってホームに降ります。1番線には7時35分発の釧路行きを待っているお客さんが何人かいます。

 
氏家待合所(営業前) ◇ 街灯

 厚岸駅を後にして周囲を散策します。すぐ駅前には一昨日に電話をし、後ほど「かきめし」を受け取る氏家待合所がありました。ここは1929年創業の老舗です。営業は8時30分からですので、まだ閉まっています。突き当たりを左折すると道路の両側に街灯がありました。牡蠣をデザインした模様になっています。

 
厚岸半島 ◇ 厚岸大橋

 しばらく行き右へ曲がると海にでます。厚岸半島と厚岸大橋が間近に見えます。地元のご老人が数人おりました。釣りをしている人、それを見ている人などです。

 
浚渫船

 そして30mくらい沖には浚渫(しゅんせつ)船が仕事をしていました。ご老人のお一人に「あの船は何をしているんですか?」と尋ねると、「東日本大震災の津波の影響で、この辺の港は水深が浅くなってしまって、大きな船が接岸できないようになってしまった。だから深く掘っているんだ。」という説明をしてくれました。話しはまだ続くのですが、訛りがあってよくわかりません。「東北地方だけでなくて、北海道でも大きな影響があったのですね」と返事をして、お礼を言って戻り始めました。

 
厚岸名物 かき最中 ◇ あっけし牡蠣まつりポスター

 駅へ向かう途中に「郷土銘菓あっけし“かき最中”」という看板がありました。かきのエキスを最中にしたものだそうですが、どんな味がするのでしょうね。そしてあっけし牡蠣まつりのポスターもありました。日程をよく見ると明日からでした。今年が第50回の節目になるようですね。

   
氏家待合所(営業中) ◇ かきめし

 8時30分を過ぎたので氏家待合所に行ってみました。のれんと幟が出ています。店内に入り、予約している旨を告げると「はい。準備できています。どうぞ」とスムーズにかきめしを手渡されました。店内の小上がりに卓袱台もあるので、「ここで食べてもいいんですか?」と尋ねると「いいですよ」との答え。早速包み紙をあけてみます。かきはもちろんですが、つぶ貝やシジミなどの他の貝類も入っているようです。特筆すべきはご飯で、かきの煮汁で味が付いており、これだけ食べても美味しいだろうと想像できます。 作りたてなので温かみが残っています。ご飯も想像通りの美味しい味でした。店内をよく見ると、元祖かきめし弁当980、帆立弁当880、“復活”さけ弁当800、炎の豚丼(炭火焼)880、氏家のいか飯400、かきおにぎり250、ほたておにぎり200などの他に、かきめし丼980、帆立丼880、炎の豚丼(炭火焼)880、炎の鶏丼(炭火焼)880などの店舗内でのメニューもありました。駅弁だけでなく、普通の丼ものもやっているのですね。今度来るときには、普通の丼を食べてみましょう。

 
店内 ◇ かきめし包み紙

   
地図 ◇ 厚岸駅名標 ◇ ルパン三世号@厚岸

 待合室で少し待ってから、1番線に出て釧路からの根室行きの列車を待っていました。やってきたのはルパン三世号でした。親切な運転士さんから聞いていた通りでした。


ルパン三世号@厚岸

 上尾幌駅で列車交換をした時には二両編成の二両目でしたが、今度は単行です。ワンマンで固定お見合い式クロスシートでトイレありです。座席は特急を思い出せるようなグレードの高いもので、テーブルもついています。

 
別寒辺牛川河口

 
別寒辺牛湿原

 厚岸を出ると、列車は別寒辺牛川の河口から、別寒辺牛湿原を通ります。窓を開けて風と香りを感じながら湿原を味わえる区間です。自然がまだまだ残っているのです。時折水鳥が飛び立ちます。1993年にラムサール条約の登録湿地に認定されました。


別寒辺牛湿原1


別寒辺牛湿原2

 5分以上、湿原の中を走った列車は次の糸魚沢駅に到着しました。
釧路
0634
|  根室本線  厚岸行き
0702
(上尾幌)
0706
|  根室本線  厚岸行き
0730
厚岸
0906
|  根室本線  根室行き
0916
(糸魚沢)
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